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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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負け組の、面白い人生 『ララピポ』 著者 奥田英朗 (幻冬社、2005年9月)

テレビや雑誌では、いわゆる成功者がクローズアップされることが多い。みんな、成功者になりたいからだ。しかし、現実には、成功者よりも遥かに多くの負け組が存在するのである。本書は、そんな負け組の中でも、選りすぐりの6人に焦点を当てた小説だ。

6人は、社会的に下に見られやすい、という面では共通しているが、その他の部分はかなり異なっている。名門大学出身の、さえないフリーライター、媚びるばかりのスカウトマン、枯れた生活に嫌気がさしてAVに出演した熟女、イエスマンのカラオケ店員、仕事に納得がいかない官能小説家、デブ専裏ビデオ女優。それぞれ、収入も境遇も違う。

その中でも、特に全員に共通しているのは、情けない、という点だ。無駄に他人を馬鹿にするのも、自分に全然自信がないのも、押し切られて新聞を取ってしまうのも、みんな、情けない。

それでも、本書は、読み終わったあと、なぜか前向きになれる。成功者はともかく、世の中にいるたくさんの人は、何か不満を抱えて生きているのだ。その不満から、より弱い人を食い物にする人もいる。ここに登場する6人は、自分より下の人間がいない、まごうことなき最底辺だ。卑屈な人も多い。というか、みんな卑屈だ。それでも、どこか変なところで前向きなのだ。盗聴に全力をささげたり、とらされた新聞をちゃんと読んで有効活用したり。

与えられた環境に不満がある。それでもみんな、生きているのだ。最近自信を無くした人、くだらない話を読みたい人に、ぜひ本書を薦めたい。