人類は今まで体験したことのない「大きな変化」に直面する。その最たる変化が、「死ななくなる」かもしれないということだ。医学の発展により人類は、信じられないほど長寿になる。80歳の美魔女や90歳の現役スポーツ選手が現れてもおかしくない。これから20年の間に、今の私たちには想像ができない世界が待っている。
著者である高城剛さんは、クリエイターや執筆家、DJなどの仕事をしながら世界を放浪し、行く先々で最先端の研究機関に出向き、そこで出会った研究者や学者と対談している。そしてその会話の中で気づきを得た未来のキーワードを「身体科学」「科学」「移動」「スタイル」「リスク」「政治」「経済」「環境」の8つのセクションに分け100項目にまとめたものが本書である。科学書ともノンフィクションとも違う、私的で妄想の混じった2035年の未来予想が、熱く展開されている。
私が驚いた未来予想の一つを紹介しよう。
MEMS技術の発達によって脳にナノマシーンが埋め込まれ、
見聞きした情報やそれによって生じた脳の反応がログとして残る時代になる。
ウソをついても脳 ログという証拠が残るため、 浮気や犯罪などの隠しごとは一切できない。
この世界から逃れるために、通信の圏外で暮らす人も増えるだろう
MEMSとは、機械や電子回路、センサーなどを集積した極小のデバイスのことだ。これを小型化・高度化すれば、自分の目に映っているものをデジタル処理して、映像データとしてクラウドにアップデートできるようになるのだ。
つまり、今見えているものを他者に送ることが可能になり、見たもの全てがログとして残る。そして下心は見透かされ、犯罪も含めた隠し事が一切できなくなるのだ。そんな世界がこれからの近い将来に迫っている。そう、人類は今まで体験したことのない「大きな変化」を体験する。
ここだけの話、本書を読むことは、他者との差を広げる良いチャンスになるはずだ。なぜなら私たちは、著者の脳内を覗き見することで、近い将来起きるであろう「変化」を知ることができた。
これはとてもラッキーである。
変化を楽しめる人生を歩もう。