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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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『10年後に食える仕事、食えない仕事』の選別は加速する

 

「10年後に食える仕事、食えない仕事」
著者:渡邉正裕
東洋経済新報社

本書は、My News Japan代表取締役渡邉正裕さんの著書です。

グローバル化によって日本人の仕事が無くなるということは、今では当たり前のように私たちの耳に入ってきます。しかし、本書の面白い点は、「日本に来た海外労働者に仕事が奪われる」や「海外に工場を移すことで新たな雇用が生まれない」という単眼的な視点だけではなく、「スキルが必要な仕事か否か」と「日本人メリットを活かせる仕事か否か」という二つの観点から日本人の仕事を四つの市場に分類し、各市場の分析をしていることです。
4つの市場はそれぞれ「グローカル」「ジャパンプレミアム」「無国籍ジャングル」「重力の世界」と名付けられています。
例えば“スキルが必要であるが、日本人メリットを活かせない”仕事は、ここでは「無国籍ジャングル」と位置付けられています。
スキルさえあればどこまでも高い収入を得ることができますが、競争力が国籍に左右されないため世界中の競合と戦う必要のある市場です。
関連書籍ではここに該当する職業はデザイナーや会計士、プロスポーツ選手を例に挙げています。
ではその他3つの市場はどうでしょうか。
スキルを必要とされ且つ日本人メリットも活かせる「グローカル」、日本人メリットを最大限発揮できる「ジャパンプレミアム」、そしてスキルも必要とされず日本人としてのアドバンテージもない「重力の世界」、これらはどのような職業が当てはまり、今後どのような競争環境が待っているのか考察するのは面白いです。

また、この書籍は2012年に発刊されており、
10年後は2022年を指してますが、2017年現在、あながち主張は大げさではないとわかります。
むしろ本書では国境が関係ない 世界、いわゆるボーダーフリーの観点から論じられており、近年話題になっているAIの観点は入っていません。
さらにその観点が加われば、当時予測されている「10年」というスパンよりもとても近い未来で、食える仕事と食えない仕事の選別は始まるのかもしれません。

皆さんも、今の自分の仕事がどの市場に当てはまり、今後どうなっていくのか本書を読み考えてみたらどうでしょうか。
本書の主張の一つは、4つの市場のうち「重力の世界」に留まる方への警鐘です。
変化を受け入れないことのリスクを本書から読み取ってみて下さい。