HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】人から愛されるでくのぼう『のぼうの城』

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表紙イラストも印象的な、和田竜の小説家デビュー作。司馬遼太郎達とは異なる、新たな歴史小説の楽しさを味わうことができる一冊。

舞台は、秀吉の時代、難攻不落の小田原城。北条氏の配下にあった、成田家の話である。

物語では、船上にいる主人公、成田長親=『のぼう様』が敵前で田楽踊りをする場面が圧巻だ。これは、三成側の水攻めに対抗する、のぼう様の策として描かれている。

土着の農民たちは、普段から自分たちと戯れるのぼう様を慕いながらも、金で買収され、敵方の水攻めを担っていた。そして、船上でのぼう様は狙撃され、共感した農民たちが反旗を翻す。小田原攻めにおいて、唯一残った城は、のぼう様の城だった。

戦というのは、必ずしも数の力ではない。人心掌握、人から慕われる力が、武力を超越する。そして、こういう闘い方は、鮮やかな戦術ではないし、歴史にも残らないのかもしれない。
しかし、戦に負けなかったのぼう様は、なんだかとても素敵な武将だと思うのである。

映画では、主人公、『のぼう様』を野村萬斎氏が演じており、キャストと登場人物を重ね合わせながら読み進んでいくのも楽しくてオススメだ。
(評者 津田恵子)

 

のぼうの城

のぼうの城

 

 

【書評】いま、ここだけを真剣に生きる『嫌われる勇気』

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哲学者と一人の悩める青年との対話を通して、アドラー心理学をわかりやすく学べる本。青年が葛藤を抱えながらも、哲学者と心を通わせ、友情が芽生えていく物語だ。

哲学者は『われわれを苦しめる劣等感は、客観的な事実ではなく主観的な解釈』だと言う。事実に意味づけをするのはいつでも自分なのだ。アドラー心理学では、トラウマの概念を否定しており、人は決して過去に支配されないという考え方だ。

一番心に残った言葉はこれだ。

●他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない

評者は、アドラー心理学の『課題の分離』という考え方が好きだ。自分をよく思わない人がいても、それは自分の課題ではない。相手の気持ちを変えることはできないし、好きにならないのはおかしいなんて、エゴなのかもしれない。

教育や育児に関わる人には、【叱ってはいけない、褒めてもいけない】という考え方も必読だと思う。
褒める行為は、上から下への評価であり、相手を操作することになる。大切なのは、上司部下、親子等の人間関係を縦ではなく、横に捉えて、援助すること。それを『勇気づけ』と呼ぶのだと。
今日から、自分の後輩や、子供に、『ありがとう』と反応してみよう。すごいねと褒められるより、きっと魔法のコトバだ。

青年が対話を重ねながら、心を開いていく様子も何だか愛らしい。評者も、青年が投げかける疑問に共感しながら、いつの間にか、哲学者の言葉に引き込まれてしまった。
心理学に馴染みのない人にも分かるように書かれており、子供が読んでもいい。

嫌われるというのは、いまここを自由に生きている証拠なのだと思う。

 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

 

【書評】カーネギーモン 『道は開ける』

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堀江貴文氏の著書「情報だけ武器にしろ。」のまえがきに代えてでは「情報を持たなければ、人は恐怖に駆られる。仕事や人生の、将来についての恐怖や不安の大半は情報不足が原因だ。」と書かれている。

カーネギーの著書「道は開ける」は“悩み”をテーマに扱っており、分析をすすめている。
それは1.事態の把握、2.事実の分析、3.決断と実行であり、本書では「この世の悩みの大半は、判断の根拠となる知識が十分でないのに、あえて判断を下そうとするから生じる。」「時間の許す限り公平な客観的立場で事実を集めることに専念すれば、悩みなど知識の光によって蒸発している。」と悩みの正体を情報不足から生じた混乱が原因と考えている。

『幽霊を見たと枯れ尾花』という言葉があるように、人は思い込みで勝手に恐怖を作ってしまうことが多々ある。情報があればある程度の予測が可能であり、起こりうる最悪の事態もそれを好転させる作戦も立てられる。

堀江貴文氏は「僕だって、情報がなければ何も行動できない。」と著書で発言している。
道を開くためには呼吸レベルの情報収集で悩みや不安を具体化することが大事なのかもしれない。

 

 

道は開ける 新装版

道は開ける 新装版

 

 

【書評】新たな価値が生まれた時代 『これからを稼ごう 仮想通貨と未来のお金の話』

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●お金の捉え方をリセットできる
仮想通貨ってなんだろう?ビットコインってなんだろう?
2018年末に起きたコインチェック騒動が記憶に新しいかもしれないが、マウントゴックス事件など、センセーショナルな問題が起こり、皆が投機的に仮想通貨、ビットコインだと盛り上がっているものの、そこに本質があるわけではない。
トークンと呼ばれる仮想通貨を用いた取引の発明は、経済流通を営む上で、これまで使われていた貨幣取引の根本から覆すようなインパクトがあるのだ。

ブロックチェーンが生む分散型社会
私たちは国家に帰属し、それらの国で取引される際には「通貨」が利用されている。
こと日本においては、国際通貨としての信頼を得ており、国際的にも信用取引として使われている。
普段あまりにも日常的に使っているため、通貨の存在をあらためて考えることはあまりないかもしれないが、キャッシュレス支払いの多様化が進んだ昨今、現金とキャッシュレス、そして通貨の価値とはなんぞや?と考えるきっかけに最適な一冊ではないかと考える。
1971年のドルショック時に米国が固定相場制を捨て、変動相場制へと舵を切ったことにより、国際金本位制が終わり、不交換紙幣による経済システムが確立した。
そして、ブロックチェーンという仕組みが生まれた今、中央集権に依存することなく、価値を取引する仕組みが誕生しているのである。

ブロックチェーンの思想、そして仮想通貨とセキュリティ
ナカモトサトシという謎の人物が2008年に突如ビットコインの論文を発表し、その後ビットコインは仮想通貨第一号として走り始めている。
世の中のニュースを追っていくと、投機的な価値の上下動や仮想通貨取引における欠陥を突いたセキュリティトラブルばかりが目につくものの、分散型台帳技術という意味の通り、ブロックチェーンの仕組みを使うことで、中央集権のシステムに依存しない取引や可能性が生まれることが仮想通貨における最大の魅力と言えるのではないだろうか。
ビットコインビットコインキャッシュイーサリアムNEMといった代表的なトークンに加え、リップルのような国際送金に対する解を提起するトークンなど、それぞれのトークンの存在価値があるが、まだまだその実体を捉えている人々は少ないと思われる。

トークンエコノミーに期待しうる未来
キャッシュレス社会に移行すると同時に広がりを見せるトークンエコノミー(仮想通貨による経済)。
手元に現金が無く、オンラインでシームレスにつながる経済世界が広がれば、その可能性は無限大に広がるはずである。
その中心には、既存の金銭価値だけでは可視化できない価値ですら”評価経済社会”の中で動き出す可能性が極めて高い。
すでに皆が活用し始めているクラウドファンディングなどもその一つであると思うが、信用経済社会において”人”の価値尺度が高まるなかでトークンエコノミーのマッチングはすこぶる相性が良いと言えるだろう。

 

これからを稼ごう: 仮想通貨と未来のお金の話

これからを稼ごう: 仮想通貨と未来のお金の話

 

 


【AI書評】新たな価値が生まれた時代『 これからを稼ごう: 仮想通貨と未来のお金の話』

【書評】これであなたもメンタリスト『「人を操る」最強の心理術』

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IQは一般的に100前後なのだが、人口の約2%が130を超えるIQを持つと言われている。これがいわゆる天才である。そんな高IQだけが加入できるMENSAという団体の1人として活動しているのが今回の著者、山本マサヤさんだ。

一般的な考えとは異なり、IQとは脳の処理スピードと脳の処理領域の大きさを指し示すもので、イコールで天才ということでは無い。要はそのIQを使って如何に上手く使いこなせるかが最も肝心。
知識をたくさん持っていても知能がなければ宝の持ち腐れとなってしまうのと同じである。

人間の脳には感情脳と論理脳が存在していて、この感情脳によって人は普段しないようなミスをしたり、集中力が欠けたりしてしまう。
しかし、マサヤさんが本書で言う「サイコパス脳」になる事により、論理脳に意識が集中され、感情脳を抑制する事ができる。
より論理脳を働かせるやり方としては、常に「なぜ」を自分に問うことや自分のプライドを高く保ちすぎない事など、様々なアプローチの仕方が本書では紹介されている。

そして相手を動かすには相手の一貫性を感じ取ることが最も重要であり、その一貫性に沿って、論理的、人柄、感情を使えば簡単に動かすことができるそうだ。

本書では、これらの具体的な手引きを細かく解説していて心理学初心者にとっても分かりやすく、心理学が楽しいと思わせてくれる一冊であった。私自身、この本のおかげでとても心理学への興味が湧いた。

 

 

【書評】多分野の専門家の力を借りて自分と時代のミスマッチを埋める 『最高の生き方』

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タイトルが本書のイメージを勘違いさせてしまっているのが少し残念であるが、本書は東大名誉教授島薗進氏、京都大学山極壽一氏、哲学者中島義道氏、岸見一郎氏、脳科学中野信子氏と各々の専門分野の第一人者が参加しているため信用がある。

本書を読むことは「なぜ自分はこのような行動を取っているのか?」と自分の行動原理を多分野の専門家を参考に考え直す機会となり、「自分の価値観はどうのようにして作られたのか?」「自分の今の考えは自分の原体験に基づく価値観が故か所属していた集団で身に着けた価値観なのか?」など多くの視点から自分の人生を分析することができる。

自分のアイデンティティと価値観の再選択を行い社会の必要性と照らし合わせて自分にとって価値のある意思決定をできるようになるための考え方を身に着けアップデートし続けることが大事であるということが本書のメッセージである。

時代は変化しているが、人間の脳の原始的な仕組みは変わらず、学校の教育システムも変わらず、両親の意見は参考にならない。古いシステム育ちの自分と変化し続ける時代とのミスマッチを本書で埋め新しくアップデートしてみよう。

 

「あれ、私なんのために働いてるんだっけ?」 と思ったら読む 最高の生き方

「あれ、私なんのために働いてるんだっけ?」 と思ったら読む 最高の生き方

 

 

【書評】国民的中高年の恋愛漫画 『黄昏流星群』

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本書は40代以降の中高年の“恋愛漫画”であり、弘兼フリークスにはたまらない漫画になります。本シリーズは2000年に第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、2018年にはテレビドラマ化された国民的中高年の恋愛漫画です。

著者はご存知「島耕作」シリーズの作者である弘兼憲史さんであり、漫画のタイトルの意味は「40歳を超えた多くの大人たちの死ぬまでにもう一度燃えるような恋をしてみたい。その恋愛は余生の最後の輝きとなるかもしれない」という意味から付けられました。(引用:黄昏流星群1巻より)

人生の中盤から終盤に差し掛かり、独身者には新たな出会いが、既婚者には不倫、高齢者には老人ホームで恋が始まるのかもしれません。本書は人生とは予想外であり、まだこれからだなと思わせてくれるドラマがいくつも描かれています。

様々な背景の中高年が主人公のオムニバスコミック。短編のため読みやすくなっていますのでぜひ一読を。泣けて笑えます。 

 

黄昏流星群(1) (ビッグコミックス)
 

 

【ランキング】今週読まれた書評【2019/11/3-9】

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1位

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PLAY WORK プレイ・ワーク 仕事の生産性がグングン高まる「遊びながら働く」方法

PLAY WORK プレイ・ワーク 仕事の生産性がグングン高まる「遊びながら働く」方法

 

 

 

2位

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金融ダークサイド 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界
 

 

3位

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シガレット&チェリー 1 (チャンピオンREDコミックス)

シガレット&チェリー 1 (チャンピオンREDコミックス)

 

 

 

4位

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 5位

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6位 

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7位

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 8位 

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9位 

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10位

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【書評】経営者目線で考える『なんでお店が儲からないのかを僕が解決する』

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レストランで楽しい体験をしたいと思っている著者が、飲食店が元気になって、ますます活性化するためのポイントについてまとめている。

人気店の必須条件は「驚き」それを継続するには、素材や料理のためのリサーチが必要だと言う。なぜなら、お客さんは何が食べられるのか、どんなことが起きるのか、ワクワクを敏感に求めているからだ。

例えば評者も、目の前で調理しているところが見られるレストランは、とても楽しく、ワクワクする。また、素材の調達方法や料理のポイントやそのこだわりなどを教えてくれると、ますますそのレストランや料理に興味がわく。

さらに、食材にこだわり芸術作品のようで、美味しい料理を作れるシェフは、本当に凄いと思う。なかでも特に包丁さばきの上手な人は、とても尊敬する。

評者は一時、ザガットやミシュラン掲載のおすすめ店に食べに行ったり、あるスターシェフの味が気に入ると、そのレストランに行くことを目的にその国を訪れたり、気に入ればそのシェフの様々なタイプのレストランで味やお店の雰囲気を比べ楽しんだ。

食は命に通じることであるため、食にこだわりを持つということは、生きていく上でとても重要なことだと考える。

本書でも著者が認めた457店のリストが特別付録としてジャンルごとに掲載されているため、おすすめのお店を知りたい人は、是非参考にするといいだろう。

また、著者は経営者目線でレストランを見てみると「もったいない」と思うようなところが多くあるそうだ。おいしいものが作れる腕があっても、ビジネスとして成り立っていないところが多いと言う。

本書では、著者によるレストラン経営の悩み相談室がQ&A形式で設けられ、飲食店経営者の多くの具体的な悩みが掲載されているため、同業者でもまたそれ以外の人でも知識が得られて非常に面白い。

著者の経営者目線の話しはいつも非常に興味深い。誰でも常日頃からお客さんという立場だけではなく、経営者の目線を持って考え、行動することにより、様々な気づきが得られる。またそれは、新たなビジネスへと繋がっていくのだ。

 

なんでお店が儲からないのかを僕が解決する

なんでお店が儲からないのかを僕が解決する

 

 

【書評】お金より大事なものは『夢を叶える「打ち出の小槌」』

 

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本書はもともと2009年に出版されたものだが、10年の時をこえて今回新たに生まれ変わった。それは、現在でも本書を上手く活用できていない人がまだまだ多いということにもなるのだろう。

本書のタイトルにもなっている「打ち出の小槌」著者は、打ち出の小槌は、誰もが持っているにもかかわらず、持っていることに気づく人は少なく、またその振り方を知る人はさらに少ないと言う。

打ち出の小槌とはどういうものなのか、また、どうすればそれが持てるのか、その思考法や日常生活の送り方について書かれている。本書を読むことにより、打ち出の小槌の存在に気づき自分のやりたいことを実現させるための近道がみつかる。

その近道への方法の一つとしてあげられているのは、成功体験を積み上げて自信を持ち、根拠はなくてもハッタリを利かせて背伸びをし、自分の能力をプレゼンテーションするということだ。

しかし、そのようなことを経験してこなかった人にとっては、そもそも「ハッタリ」を利かせる方法や自分の能力をどのように「プレゼンテーション」したらいいのかわからないだろう。

そのような人には、まず本書を読み「打ち出の小槌」の意味を理解したのちに著者の『ハッタリの流儀』『堀江貴文のゼロをイチにするすごいプレゼン』を読むことをすすめる。それにより、成功への近道を完全に理解し、実際に行動することが可能となる。

著者の複数の著書は、それぞれ内容が連携しているため、非常にわかりやすい。自分の苦手としていることや関心のあることなど、それぞれの著書を併せて読むことにより、より理解度が深まっていく。

一冊だけ読むと、サッと読み過ごしてしまい、結果として読んだだけで満足してしまい、行動せずに時が過ぎ去ってしまう。しかし、関連した著書を併せて読むことにより、その内容が印象深くなり、詳細が明らかになる。すると、自分にとって必要なことがより具体的になり、行動しやすくなるのだ。

堀江貴文のゼロをイチにするすごいプレゼン』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2019/11/04/220000

『ハッタリの流儀』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2019/08/03/220036

 

夢を叶える「打ち出の小槌」

夢を叶える「打ち出の小槌」