HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】次の10年を見据える基礎知識 『5Gビジネス 』

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◆世代の狭間を生きる僕らの基礎知識
YouTube大学でも中田のあっちゃんが分かり易く取り上げていた本書を読むことは、次の10年を想像する未来の設計図と言えるでしょう。
5Gってどういう意味?4Gと3Gの違いもよく分かってないんだけど…
という方、とりあえずググるか本書を読むことをおすすめします。
日本では、2020年以降、5G(5th Generation = 第5世代移動通信システム)が実稼働し始める予定です。
これにより、圧倒的な「高速大容量通信/超信頼低遅延通信/多数同時接続」を実現することが出来ます。
漢字がつながって分かりズレぇーという方、つまるところですね、パソコンのインターネット環境で出来ていたような通信環境がスマホの中でも実現するんだなぁーとイメージしていただくと分かりやすいかと思います。

◆もう泣かない?通信制限とはおさらば
体感し易い変化を挙げると、5Gの通信環境が整うことで、動画のような大容量データの消費をしても、通信制限とはおさらばすることが5Gの始まりと言っても良いかもしれません。
上記に述べたように、5Gの前提として、現時点では使い過ぎによるデータ通信制限がかかりやすい環境で、まだまだスマホの通信アクティブ率が右肩上がりな成長分野(=供給不足)である点を解消することが第一義であると言えるでしょう。
一見、性能が上がっただけで大きな変化ってないんじゃないの?と捉えてしまう方もいるかもしれませんが、そうではないのです。
まだまだ、まだまだまだまだ新しいサービスの登場によるIoTによる生活の大変化が起きる前の時代だと思ってもらっても差し支えないと思われます。

◆BtoBtoXが生み出す生活一大変化
いきなり、なぞの英単語が登場したと思うやもしれませんが、IT領域は英語で語ったほうが理解し易いキーワードが多々登場するのです。
5G社会の到来により、BtoBtoX(Business to Business to X(エンドユーザーをXと指す。Business or Customerなどに置き換えることが出来ます)という構図が一般的となると言われています。
最初のBは、通信環境の土台となる提供元を指しており、間のBがサービス提供者となる企業が入り、エンドユーザーとなるXがサービスを享受するという構図です。
これらに関しても、既にGAFAを始めするWebサービスはBtoBtoXの関係図になっていますので、ことさら新しい概念になるわけではありませんが、その他多くのサービス業も同様の構図となったサービスモデルに向かうと予想されているわけですね。
もっと、身近な例に落とし込むと、例えばキャッシュレス。
2019年に入ってからコンビニを始めとする多くの店舗でキャッシュレス決済が取り入れられるようになりましたね。
オンラインで一気通貫でサービスが成立つように出来る、利便性の高い日常やサービスや着実に生まれているのです。

◆データ爆発の大航海時代?いやもはや帝国時代の到来か?
IoT(Internet of Things)という「あらゆるモノがインターネットにつながる」という状況がリアルタイムで進行中です。
そして、5G時代に突入することで、これまで想像は出来ても物理的に実現困難だったサービスが登場し続けます。
想定ではなく確定事項です。
本書にもあらゆる未来のサービスが書かれている通り、既にアイデアをかたちにしている群雄割拠な時代ですので、僕らの目の前に登場するのは時間の問題だと言えるでしょう。
そんな舞台の中で、GAFA(GoogleAmazonFacebookApple)を始め、中国のBATH(Baidu/Alibaba/Tencent/Huawei)といった超IT企業が世界の市場を席巻しているわけですよね。
可能性を感じる激動の時代に生きていると同時に、確実に生活の変化が生じる時代においては、「今まで通りが良い」と思考停止なマインドのままでは、おいてけぼりに会うやもしれません。
どうせ変わるなら自分で道を切り拓きたいですよね?

 

5Gビジネス (日経文庫)

5Gビジネス (日経文庫)

 

 

【書評】2勝10敗の経営理論『俺のイタリアン、俺のフレンチ』

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まず初めにこの本の著者である坂本孝氏はブックオフの創業者であり、俺のイタリアン、俺のフレンチを展開する俺の株式会社の創業者でもある。輝かしい実績と名声を手にする経営者だが、ブックオフ設立以前の戦績は、0勝10敗である。10敗した経験を踏まえて、ブックオフのみならず、俺のシリーズでも上場を視野に入れる、坂本氏の経営哲学とは何であろうか。

その答えは、この本においてシンプルな「競争優位性」という言葉で説明されている。俺のシリーズの競争優位性とは、一流料理人が原価を抑えず顧客満足度の高い料理、サービスを提供することにある。飲食店経営を知る人、事業を行っている人はこれを、競争優位性と聞いてびっくりするまたは、呆れてるかもしれない。なぜならば、飲食ビジネスにおけるトレンドは、高単価かつ原価を抑えることに主眼が置かれているからだ。坂本氏も、この経営方針に対して、道楽で商売をやっていると批判や嘲笑されたと語っている。ただし、俺のシリーズはこの競争優位性を回転率にこだわることで数字上で勝てることを説明づけている。そして、この仮説をより実績に近づけるべく、人材雇用、エンゲージメント、オペレーション等に日々カイゼンを施していき、競争優位性を強化していくというものだ。

回転率をあげるべく集客し続けることは、飲食店に置いて容易なことではないが、そこに焦点を絞りあらゆるカイゼンを施していく考え方は、トレンドや理想のみを追いかけ数字に置き換えない経営者や創業者がまず一勝を積み上げる上での良書といえる。

 

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

 

 

【ランキング】今週読まれた書評【2019/10/13-19】

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1位

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bookrev.horiemon.com

北欧式 眠くならない数学の本

北欧式 眠くならない数学の本

 

 

2位

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bookrev.horiemon.com

ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力 (NewsPicks Book)

ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力 (NewsPicks Book)

 

 

3位

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経済学 名著と現代

経済学 名著と現代

 

 

4位

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5位 

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 6位

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7位

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8位

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9位

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10位

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【書評】子を思う母親の力を見よ『えっくんと自閉症―ABAアメリカ早期療育の記録』

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「日本ではダメだ」

残念ながら多くの医療が日本ではとても遅れている。

HIUの方ならご存じであろうが、実は何十年も遅れている分野が少なくない。

多くの人はそのことすら知らず、世界標準から大きくズレた治療や検査を受け続けている。

自閉症もその一つ。

「トンでも医療」で、何も改善しない息子のことを母親は独学で調べ続け、父親の祖国アメリカでは全く違った現状であることを知る。

クラファンもない時代、母は障害を持つ息子を連れて単身アメリカへ渡り、持ち前の粘り強さでアメリカ人と同様の教育サービスを取り付けていく。

この本を障害児の教育本と思うなかれ。

現状に満足がいかないなら、徹底的に調べつくして行動する。

必要あらばアメリカに移住し、父親がアメリカ人である自分たちにはアメリカ人と同様のサービスを受ける権利があると行政とどうどうと渡り合う。

子のことを思う母親を止められる人間はいないのだ。

この本では忘れていたバイタリティを思い出してほしい。

どなた様も満足すること請け合いだ。

 

えっくんと自閉症―ABAアメリカ早期療育の記録

えっくんと自閉症―ABAアメリカ早期療育の記録

 

 

【書評】司馬遼太郎が描く牛若丸『義経』

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判官贔屓という言葉があるくらい、源義経を大好きな日本人。美形な好男子のイメージがあるが、司馬遼太郎の描く義経はもっと人間味がある。

以下、印象的な場面。

●頼朝との対面
義経を見定める頼朝と、緊張しながら謁見する義経。最初は認めあっていた2人なのに、ストーリーが進むにつれて、次第に亀裂が入り、心が離れていく有様はとても切ない。

木曽義仲の性格
京都を追われる義仲が、恋仲になった都の貴族の娘と別れるやり取りが何とも俗っぽくていい。ちょっと滑稽。

鵯越の逆落とし
山道を行軍し、敵の目を欺いて崖から馬ごと落ちて攻めた有名なシーン。怖がって言うことを聞かない馬の描写や、崖を駆け下りた馬の様子、義経が激を飛ばすところなど、すごくリアリティがあった。

壇ノ浦の戦い
天才的な義経の戦術と思いきや、舟の漕ぎ手を射るのはルール違反だったらしい。そして、史実はどうだか知らないけれど、建礼門院安徳天皇の母親)は死んでおらず、義経に身を捧げていた。

実際のところは分からないが、滝沢秀明のような美形義経ではなかった、という感じが、評者は好きだ。

読書の秋。
たまには、歴史に思いを馳せるのもどうだろうか。

 

新装版 義経 (上) (文春文庫)

新装版 義経 (上) (文春文庫)

 

 

【書評】「なにやってんだろ」。付き合ってもないけど、切ないけど、身体を重ねる二人。14歳の葛藤。『うみべの女の子』

 

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久々に自分好みの作品をみつけてしまった。心の整理のつかない思春期の「なにやってんだろ」を味わえる超名作。心の整理がつかないまま14歳の二人は身体を重ね、物足りなさ、これじゃない感を味わい、でもまたしてしまうそんな葛藤を味わえる。

主人公の小梅は14歳の女の子。好きな先輩とデートに行ったが、フェラを強要され逃げた。その腹いせに自分のことが好きなクラスメイトとSEXを毎日のように繰り返す。が、いつも何か物足りない。

その相手の磯辺は小梅が自分のことを全く好きではないことを知りながらも求められるままSEXを繰り返す。でもキスはしてくれない。自分を好きになることもない。毎回これで最後と思うが誘われるとやっぱりしてしまう。

「なにやってんだろ」

本作はひたすらに切ない。胸が締め付けられる。モヤモヤさせられる。その上絵が超綺麗。作品に没頭させられる。

しかし、どれだけ葛藤しても何かのきっかけで何事もなかったように人は大人になっていく。なんとなく付き合った相手に「すきだよー」とか言う高校生に成長する。いやー、久々に名作を読んだ。

 

うみべの女の子 1 (F×COMICS)

うみべの女の子 1 (F×COMICS)

 

 

【書評】失った「ナスビさんチョッキ」は、どのようにして取り戻せたのか?『捨て本』

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本書では、著者自身の半生を振り返り、著者の「捨てる論」について書かれている。また「常識や理屈に縛られ、思考停止した生き方をしている人が、どうすれば自由に生きられるのか」これは、著者が近年探求し、今まで発売されてきた多くの著書で伝えてきたメッセージだと言う。

自分が必要だと思っているモノ。多くの人は、そのモノ自体が人生を豊かにしてくれていると信じている。ブランド物などがいい例だ。それを所有すること自体が、自分のステータスをあげると思っている人は非常に多い。

しかし著者は、豊かに生きる方法として、モノや他人への執着を捨て、自分の気持ちに従い、今を生きることをすすめている。そして、目の前のことに熱中していれば、自分に合った仕事、人間関係、自分があるべき場所へたどり着け、本当に大切なものが取り戻せると言う。

本書は『捨て本』というタイトルのとおり、捨てる事にたいしてフォーカスされているが、決して「捨てられないもの」や今後「生きていくのに必要なもの」についても書かれているため、本書で確認してほしい。

本書の表紙に書かれているタイトル『捨て本』は、著者による直筆だと思う。字はその人の人格を表すと言われ、その人が持つ教養や人柄、またその人の人生への姿勢までもが表れると言われている。

著者の書いた字の第一印象は、非常に丁寧に字を書いている。著者自身も、その字のように丁寧な人なのかもしれない。

例えば、著者のツイッターなどでの的を射た簡潔な発言は、時として人々に理解されないこともある。そんな時、著者は自分の貴重な時間を使い、理解できない人にもわかりやすいように、その発言の意味について解説するところなど、本当に丁寧な人だ。

字を単に上手に書くということは、コツがわかれば誰にでもでき、そう難しいことではない。しかし、丁寧に書くということは、非常に難しい。評者は、子供の頃から書道を習い、現在も継続しているが、いまだに丁寧な字は書けていない。また著者からの思いがけない新たな学びがあった。

著者の本は複数読んでいるが、本書からも「捨てる」ということをキーワードに人生についての多くの学びがあった一冊である。

 

捨て本

捨て本

 

 

【書評】三井不動産に教わる場づくりエンゲージメント『場の力 変化を起こすためのヒント』

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今でこそ、当たり前になった、コワーキングスペースクラウドワーキングにサテライトオフィス
2016年時点で事例紹介をしている、さすが業界最大手不動産会社の中の人たちが書いた1冊。

社内向けメールマガジンだったということもあり(とんでもなくハイクオリティメルマガ!)、内容がコンパクトにまとまっており、読みやすいのもポイント。
全60号の良質なコンテンツを楽しむことができる。

働き方と服装、旅館サービスの『名乗り』効果、コンテナ型店舗など、街づくり、場作りのプロフェッショナルたちの視点は興味深く、研修事業を営む評者にとっても、新たな気づきが沢山あった。

事業のヒント、組織風土改善、チームの場作りのヒントが欲しいときなど、とても役に立つと思う。

書いていらっしゃる方たちもとても素敵な皆さんです!

 

場の力―変化を起こすためのヒント

場の力―変化を起こすためのヒント

 

 

【書評】感情を仕事に持ち込むべき理由『ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力』

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講演会を聞きながら感じた塩田氏の印象はこうだ。
『あぁ、ついにニュータイプの経営者がきた』

新人時代に教わらなかっただろうか?もしくは、先輩や上司にこう言われなかっただろうか?

論理的に説明しろ、で、根拠は何?
感情的になるな、お前の思いは横においておけ
何言ってるか全然わからない、結論から話せ
お前の感想を聞いてるわけじゃない、意見は何?

ビジネスパーソンの登竜門とも言えるこんな指導について、完全に逆行する指南書だ。

理系専攻、一橋でMBA取得までした塩田氏。ハートドリブンな経営、感情を大切に扱うこと、については、明確な根拠と大局観がある。

●便利さ(機能的価値)の時代から、心(感情価値)の時代へ
●画一的な価値観から、多様な価値観を認め合う文化へ
●透明性の加速。DoingからBeingの時代へ

技術の進化が、欲求をシフトする。人がゲームをするのは、感情報酬。
少し聞いただけでも、今の時代はそうだよなと腹落ちできる考え方が豊富に書かれていた。

そう、私たち、本当は感情をもっと大事にして、仕事したいと思っていたのではないだろうか。
学生時代までは、もっと感情表現は自由だったのに、会社に入った途端、言えることや書けることが制約されるのはもちろん、感じることすら抑制されてしまった。

大切なのは、塩田氏のハートドリブン思考は、彼が徹底的に思考タイプに振り切れた経験をして、ズタボロになったからこそ、生まれたものであるということだ。
最初から、魂の解放がどうのと、言っていたわけではない。

父親の死、自分の会社を持つと決めてからの行動力。スタートアップのご多分に漏れず、侵食を惜しんで仕事に没頭し、身も心もボロボロになって、気付いたことだった。だから、説得力がある。

発言したら拍手する、経営会議もチェックインから雑談が続く。いま、どんな気持ちなのか、みんなと共有する。不機嫌なことも隠さない。
安心安全な組織とは、かくあるべきだと私は思った。
アカツキこそ、まさにティール組織だ。

スタートアップで働く方は、共感が多いだろう。
そして、大企業に勤める人こそ、このニュータイプの経営者の考え方は知っておくべきだ。
きっと、救われる考え方があると思う。

 

 

【書評】「スキル×理論的×経営者視点×環境」『働き方完全無双』

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先進国で生まれた私たちは、今後経済的に苦しくなっていくことが明らかだと著者は言う。本書は、日本でどのようにしたら「無双」状態で働けるかについて書かれたものである。

日本で働く上で自分を有利にさせるために、自分自身の守り方、攻め方、さらに企業側の視点を本書から学び、クビになっても大丈夫な状態にする。そのためには、まず現状を分析し、最悪な状況からシミュレーションしていけば、誰でも幸せは手に入るそうだ。

また、普段から笑顔でいることの重要性についても伝えている。なぜなら著者自身の実体験により、笑顔でいるとなんとかなることが多いそうだ。

著者は、長年海外に住んでいるそうだが、海外だとスーパーのレジやエレベーターに乗った時など、思わぬところでも笑顔で挨拶するのが当たり前であり、そのようにしたほうが絶対にトクだと言う。実際に物事が上手くいかなかったり、言葉があまり通じなかったとしても、笑顔でいたことで、自然と上手く事が運んだそうだ。

確かに海外に行くと、国によるかもしれないが、老若男女問わず笑顔の人が非常に多い。知らない人同士でも自然と挨拶をしたり、話をしたりする。しかし、その感覚で日本に帰ってくるとそのギャップが激しい。

日本だと無言や無表情の場面が多いせいか、不機嫌に見えてしまう。また意識した笑顔は作り笑顔になってしまい、より違和感がある。そのため、なんだかいつもニコニコ笑顔の人がより引き立ち、笑顔の人は損をしないと著者は言う。

本書の最後には、付録として著者のおすすめ観光リストや映画について掲載されているため、参考にしてみるのも面白いだろう。 

働き方 完全無双

働き方 完全無双