HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】ピアノの天才、彼らがいるところ『蜜蜂と遠雷』

「まあ宇宙つながりとゆうか気象つながりとゆうか」

天才の思考は限りなく、遠く広がっていく話をしようと思う。

この物語は空想ではなく、実在のポーランド人ピアニストがモデルだ。

巨匠が隠し通した唯一の弟子、彼の実家は養蜂家で蜜蜂とフランス中を移動する。故にピアノを持たず、その自由な音楽はピアノ界を破壊する時限爆弾として育てられる。

音大の学長が探し続けた天才少女は、突然の母の死に耐え切れず大きなコンサートから逃げ出し、音楽界から姿を消していた過去を持つ。幼き日よりプロだった。

日本でイジメられていたフランス系移民の心の拠り所はピアノ。自分を認めてくれた日本人少女との約束を守り、祖国に帰ってからも続けたピアノの才能は開花する。アメリカの重鎮に発掘された彼はジュリアード音楽院の王子と祭りあげられる。

大金持ちの天才中国系アメリカ人、成長著しい韓国勢、プロを諦め切れない楽器会社の社員。

彼らは日本のコンサートで競い合い、自分を見つけていく。

努力する人間はプロには慣れない。

天才たちにとってコンテストすら戦いではないのだ。

蜜蜂と遠雷は言葉にリズム感がある。
それは、読み手を空に連れて行くリズム。

音楽のように、私達の思考を空高く遠くに連れて行ってくれる。

楽天才たちが見る先は広く、争いは無いのだ。

天才たちの見るところを体感して欲しい。 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

【書評】そこのあんた!なんで、地方で消耗してるのよ! 『まちで闘う方法論』

本書は地域活性化とは地域自体が稼ぐことであることを明言し、地域で稼いでいくためにすべき事、気をつける事を著者の経験とともにまとめている。

本当に必要なものは必ず事業になる。本当に人のためになることは、しっかりと稼げるものであることが多い。なぜなら本当に必要なものに対して、人はお金を払うからだ。補助金を用いた無料イベントでは事後に何も生み出さない。今すぐ稼ぐ事業に取り組んでいこう。

収入-利益=経費として事業に取り組むことが大事。まずは自分達で期待する利益を決めて、そこから経費を考えていこう。そのためにも地域で稼ぐための事業を行おう。利益を出さないイベントで地域に活力は生み出せない。

著者の木下斉氏は高校生の時から地域での取り組みに関わり、成功も失敗も数多く経験している。地域の課題について書かれた類書も数多くあるので手にとってもらいたい。私自身、地域のイベントに5年前から携わっている。それらのイベントは補助金が入っていて、来場も無料のものだ。それについて何の疑問も持たずに自分達は地域活性化に取り組んでいると思っていた。しかし、補助金が減らされるからイベントを縮小せざるを得ないという声の多さにうんざりしていた矢先、この本に出会って目から鱗が落ちた。ぜひ、地域の活動に関わっているけど何かがおかしいなと感じてきた人に読んでもらいたい。

地域での事業化、もちろん不安はあるだろうけど、味方はたくさんいるよ。だから、やってみよう!

まちで闘う方法論:自己成長なくして、地域再生なし

まちで闘う方法論:自己成長なくして、地域再生なし

【書評】ワインを一口飲むだけで、アートの世界が脳裏に広がる『神の雫 (1)』

世界的ワイン評論家であり世界有数のワインコレクターの「神咲 豊多香」の死がきっかけとなり、その遺言書に残された市場価格で約20億円ともいわれているワインコレクションをかけての争いが行われる。

その争いとは、12本のワインとその頂点にたつ「神の雫」と呼ばれた幻のワインが何年作の、どのワインかを1年後の期限までに言い当てることができたものへ、遺産のすべてを譲り渡すというものだ。

身内は息子の「雫」ただ一人だが、亡くなる一週間前にワイン評論家でワイン界のプリンスとも言われている「遠峰 一青」と養子縁組をしており、この二人で争うこととなってしまった。

主人公でありビール会社の営業マンの「雫」は、父親から子供の頃より味の違うブドウジュースを飲まされたり、味や匂いを比べさせられたりしてきた。またワインとは関係のないような、詩集、絵画、音楽にも精通するように言われ続けてきたそうだ。

そのため「雫」は「ワインを一度も飲んだことがない」とは言うものの、一口飲んだだけで、そのワインのイメージする音楽が聞こえてきたり、映像が浮かんできたりと、驚くべき感性を持っていたのだ。

評者も子供の頃から、味覚に関しては、しつけられてきた。インスタント食品や冷凍食品、ファーストフードなどは、物心がつくまでは、一切食べたことがなかった。そのおかげか、味覚はかなり繊細だと思う。お酒は飲めないのだが、試飲や飲み比べをした際には、明確なその違いがわかり、非常に面白い。

また、今までの人生の中でたった一度だけ、お酒が美味しいと感じたことがある。それは、カクテルを作ってもらった時だ。その味を再現できないのがとても残念だが、その時の感動は忘れられないものである。

なぜなら、レストランでカクテルを作ってもらっても、またビールや日本酒、ワインなど、なにを飲んでみても、なぜかお酒が美味しいと思えたことはないからだ。そのため「美味しいと思えて、飲めるお酒」に出会えることは、評者にとってはとても貴重な経験なのだ。

お酒はたくさん飲めなくても、食事の際にその料理にあったものや、その土地にしかないもの、またその国にしかないお酒が飲めたら、より人生が楽しくなると思う。そのため、評者にとってお酒は、人生の中でまだクリアできていない課題のようにも感じる。

本書で表現されているように、いつか一口お酒を飲んだだけで、アートや音楽がイメージ出来るようになれたら、より面白い人生になると思う。

神の雫(1) (モーニングコミックス)

神の雫(1) (モーニングコミックス)

【書評】ここが変だよ、リハビリの世界 『リハビリの結果と責任』

交通事故によって脳挫傷となり四肢麻痺となった著者。その後、多くのリハビリ病院でリハビリを受けていく。しかし対応するリハビリスタッフの熱意のなさ、病棟での不満などで著者の意欲は低下する。最後には幸運にも、何とかリハビリに熱意のある病院に入院できたが・・・。

リハビリにプロ意識はあるのか。著者は受傷前、会社を3社経営するビジネスマンだった。企業では成功と失敗、損得について冷静に数字で結果が出る。しかし、リハビリの世界はどうだろうか。リハビリ職の1人1人の技術差、視野の広さには大きな差がある。にもかかわらず、技術の低いリハビリ職が淘汰される仕組みが十分にできていない。医療保険介護保険や病院という組織に守られているのではないか。

 患者の立場からでは何も言えない無力感、機械浴での屈辱感など本書には実際の患者側の視点が多くみられる。リハビリに関わる者、また医療に関わる者は患者の体調や精神状態を想像しながら関わってはいるものの、その苦しさについては自分自身で経験することはできない。患者がどのように思っているのかの1つの視点を与えてくれる。

この本は2009年に刊行されたもので医療保険制度も介護保険制度もその時とは少し変わっている。そのため現代でも本書のような熱意のないリハビリが行われていると断言はできないが、全く無いとも言い切れないだろう。なぜなら、次の転院先が決まっているのであれば転院までに冒険はせずに無難にリハビリを行って転院先へつないでいくからだ。
読んでもらいたいのは、リハビリに従事している全ての人。この本に出てくるリハビリスタッフの行動について、良い点、悪い点ともに感じ取ることで日々、自分の提供しているリハビリを振り返ってもらいたい。

 リハビリの世界の構造的な問題はまだ残っているにせよ、まずはリハビリ関係で働いている1人1人がこの本の著者の気持ちを真摯に受け止めて日々のリハビリに取り組んでもらいたい。目の前にいる人が充実するリハビリを試行錯誤して行っていきましょう。

リハビリの結果と責任―絶望につぐ絶望、そして再生へ

リハビリの結果と責任―絶望につぐ絶望、そして再生へ

【書評】コントロールしたがる人 ・謝らない人対策に勧められて読んだ『COMIX家族でできる7つの習慣』

『7つの習慣』は耳にしたことがあるが難しくて読めていなかった。今回紹介する漫画版は、漫画だけでなくまとめや用語の補足が簡潔にまとめられていて読みやすい1冊だ。読書が苦手な私でも1時間で読めた。

第1の習慣では主体的になれと書かれていた。私は何か問題があると自分に原因があるとしても人のせいにしていた。「あなた」主体ではなく「わたし」主体で世界を認識することができれば、他人のことを気にする必要がなくなり、人生を自分で決めることができるようになる。

第4の習慣によるとお互いがより良い関係(=相乗効果が出せる関係)を築くにはどんな間柄でもWin-Winの関係にすると良いという。
勝ち負けのある世界で何が「Win-Winだ?」と初めは腑に落ちなかったが〈ライバル〉がいるからこそ高め合えるという利点もある。私は勝ち負けという考えに囚われていたことに気づかされた。

この本とは少し離れるが、私にとってとてもタイムリーな内容もあり面白かった。
第2の習慣である「終わりを思い描くことからはじめる」。目的と目標についての章だ。先日、元USJ森岡さんが「多くの企業の人は目的思考ではない。環境のせいにする。環境に合わせて目的を変える。という話があったが→周り人生に合わせて、自分の人生を変える。〈目的を通すことが大事〉」と話していたのが印象的だった。同様に著書にも〈目的は最終ゴール、目標はそこに至る道筋。目標は状況によって変化するけど、目的はかわらない〉とあったのだ。

この本を読み自分自身ががコントロールしたがる人 、そして謝らない人なのかなと痛感。謝っているつもりでも謝っていなかった。人の話を聞いているつもりでも聞いていなかったのかもしれない・・・。

『7つの習慣』は対人関係にフォーカスした内容ではなく、自分自身が生きやすくなるためのヒントが幅広く7つの項目に分けて紹介されています。人生でのトラブルはひも解くと7つで集約出来る気もする。シンプルなたった7つのことなので今すぐ取り入れたい!!と思うも、シンプルなのになかなか出来ないから、こうして本になってまとめられているんだろうなw

COMIX 家族でできる7つの習慣

COMIX 家族でできる7つの習慣

【書評】仮想通貨とは、信用の新たなる形である『仮想通貨3.0』

2014年に発生したマウントゴックス事件。当時世界最大だったビットコイン取引所マウントゴックスで75万BTC(当時レートで約480億円)と顧客の資金だった28億円を消失する事件が発生した。当時のCEOマルク・カルプレスが当時何が起きたのか、また仮想通貨のこれからを事件当事者ならではの目線で説いてくれる。

これまでの仮想通貨本はこれからは仮想通貨が熱い! まだまだこれからだ!など読者に仮想通貨の知識を与え是非仮想通貨にチャレンジしてほしいといった内容が多かったが、著書は仮想通貨の"リスク"について深く説いている。

著者は仮想通貨の未来が良い方向へ進んでくれるよう願ってはいるが、楽観視はしていない。様々な問題点をクリアして本当の仮想通貨時代が訪れるのではないかという観点は著者の強い想いと願いが感じられる。

既に仮想通貨を持っている方、これから所有を考えている方、双方にメリットのある著書ではないだろうか。他の仮想通貨本とはまた違った目線で仮想通貨の真実に迫っているので、仮想通貨に関する本を何冊か読んだ方にもおすすめ。

現段階で仮想通貨の種類は2000種類を超えている。新たに始まる通貨もあれば終わっていく通貨も存在する。どの仮想通貨が生き残るかも分からない。「仮想通貨は終わった」という声も多く聞く。しかし、仮想通貨は新たな信用の形でありこれからの通貨を大きく変えるツールである事は間違いない。 まだまだ発展途上であるこの通貨を少しでも理解する事は、今後訪れる大きな変化に対応するための大きな武器になるかもしれない。

仮想通貨3.0

仮想通貨3.0

【書評】あなたの想像を遥かに超えた世界が宇宙には存在する。『ビッグ・クエスチョン <人類の難問>に答えよう』

世界的理論物理科学者であるスティーブン・ホーキング氏が自らの専門分野である“宇宙”を軸に人々が今まで抱いてきた疑問を解き明かす。

とにかく我々の想像を超えている事が宇宙では常に起こっている。宇宙が始まる前には“時間”という概念が存在していない。なんて全く想像できないが、こういった普段当たり前にあるものすら当たり前でない世界の話をホーキングならではの目線で解説してくれる。この類いの解説は普通ならばとてつもなく難解な話になるのだが、噛み砕いてとても分かりやすく説明してくれているので今までこのジャンルに手を出した事のない方でもすんなり入り込める仕様になっているのではなかろうか。

光すら逃れられないほどの重力?超人類誕生?もう想像できないことのオンパレードだが、全てに科学的根拠があり、なるほど!と納得してしまうことばかり。

私たちが暮らす地球の内外で何が起こってきたのか、これからどうなっていくのか、他の本とはまた違った目線で解いてくれているのではないだろうか。『サピエンス全史』、『ホモデウス』等が好きな方には是非読んで頂きたい一冊。ってか宇宙って半端ねぇなってなると思う。

残念ながらホーキング氏は長年患っていたALS(筋萎縮性側索硬化症)が原因で2018年にお亡くなりになられました。彼の研究で明らかになったこと、頭の中で思い描いていた物語が、この本を通じて語り継がれていくことを願う。変わりない日々に著書というスパイスを。

【書評】頑張るのを辞めれば周りが幸せになる『なぜかまわりに助けられる人の心理術』

人の心を読み、操る技術「メンタリズム」の第一人者DaiGoさんの著書です。

皆さんは何でも自分でやりすぎていませんか?
本書を読めば、頑張っても報われない「やってあげる人」から「やってもらってばかりでも好かれる人」になれます。

方法は簡単。ルールを3つ、技術を7つ、習慣を5つ、身につけるだけです。
15個もあるのか・・・と、げんなりなりする必要はありません。1つだけでも充分効果があります。

例えば小悪魔女は、助けてもらうという分野ではプロ中のプロです。
小悪魔女は相手が少し無理をすれば叶えられる程度のワガママを応えさせ、自信を与え「もっと彼女にしてあげたい」と思わせるのだそうです。

もう一度言います。あなたは頑張って自分の首を絞めています。
はやく本書を手に取り「やってもらう人」になるべきです!。

なぜかまわりに助けられる人の心理術 (宝島社新書)

なぜかまわりに助けられる人の心理術 (宝島社新書)