HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】本音で生きない弊害『傲慢と善良』

2018年本屋大賞かがみの孤城』の著者、辻村 深月さんの最新作。
婚活を経て2年間交際し婚約したが、相手の女性が忽然と姿を消す。消えた女性の過去を探る物語。

ある日突然変われる。そんなチャンスを人は待っている。主人公「真実」も私もその一人だ。
すべて親任せで生きてきた「真実」は自分で決められない。自分で決めないことを決めているのだ。

結婚相談所のオーナーは耳が痛いことを言う。
婚活が上手くいかない人は『ピンと来ない』に悩まされる。
相手にピンと来る、来ないというのはその人が自分につけている点数。
点数に見合う相手が来なければ人はピンと来ないといいます。
ドラマで見たり、話で聞く恋愛ができそうもないと無意識に相手に落第点をつけてしまうそう。

私自身、恋愛結婚の末結婚したが、付き合っていた3年間この人で良いのかとずっと迷っていた。
何でも選べる都会にいて選択肢が無限にあると思い込んでいるつもりが手元に残ったのは選ばなかった時間だった。
この小説で主体制のない親任せの主人公「真実」に心底苛々させられたがこれは過去の自分へ怒りだったのかもしれない。

この話には様々な対比が描かれている。
男友達と女友達。独身と結婚。都会と田舎。自由と不自由。真実と嘘。傲慢と善良。
もし対岸へ行きたいと望むなら一歩一歩自分で決断し進むしかない。

傲慢と善良

傲慢と善良

【書評】Let's talk English without being embarrassed.『英語の多動力』

現代は情報をいかに集めるかが大事だ。日本語はほとんど日本人しか使わない一方で、英語圏の人口は15億人を超える。英語での情報量は日本語に比べ莫大だ。多くの情報をを手にいれるため英語に没頭しよう。

AI翻訳の精度は高まっている。そんな時代に英語を勉強する意味はあるのだろうか。本書によるとAI翻訳は会話のタイムラグがまだあり、英語を話せることはまだまだ重要だという。

日本にいると気づかないが、実は日本の1人あたりGDPは香港やイスラエルに抜かれている。日本人は世界の標準から離れないためにも英語に対する危機感を持たなくてはいけない。本当に意味でのグローバルな視点を持つ必要性を感じる。

著者は世界を飛び回る堀江貴文氏である。また、実際に英語を使って活躍している6人のインタビューも掲載されている。
英語が身に付いていないと感じる人、英語の使い道のイメージが湧かない人、多くの情報を得たい人にオススメだ。

恥じることなく英語で会話して外の世界を見たい。英語にはそれだけのポテンシャルがあるんだから。さあ、Let's talk English.

英語の多動力

英語の多動力

【書評】企業で人気のコミュニケーション講演『相手に「伝わる」対話術 』

時代の変化とともに企業や個人が課題とするテーマも変化する。

ただそういった中でも様変わりしないテーマはコミュニケーションと言われている。

テクノロジーの進化とともに働き方は多様になっているが、基本となるコミュニケーションが円滑かどうかが、企業でいえば業績の良し悪しの決め手となる、といっても過言ではない。

今回紹介するのは、コミュニケーションをテーマとした人気講師・山本衣奈子さんの講演をまとめた本だ。

特徴となるものは、参加型の講演スタイル。

コミュニケーションワークを多く交えながらの受講者に体感してもらう構成となっている。

例えば、「察する」を体感するワーク。
これは水兵体操という実験で紹介されている。
3人以上で両隣の人と手を繋ぎ、、
①両手を上げます。
②両手を下ろします。
③上を向きます。
④前を向きます。
⑤右足を上げます。
⑥右足を下げます。
⑦左足を上げます。
⑧左足を下げます。
⑨右手を上げます。…
といったワークをやると、手を繋いだ右隣の人にとって上げたくもない左手を無理やり上げさせることになる。
これでわかることは、正しさは誰がどの立場で言っているかでコロコロ変わるということ。
「行動を察してほしい」という要求の無謀さを感じられる。
簡単で大切なことは「自分を変えること」、これを腹落ちさせる内容。

上記は一部だが、コミュニケーションにおける忘れがちなポイントを講演としてまとめられているので大変読みやすい。

無名だが長年活躍しているコミュニケーションの人気講師はどんなことを話しているのか、という視点でも楽しめる一冊。

【書評】やりたいことが見つからないひと、人生に迷っている人、ワクワクを見つけられない人、そんな人々に読んでほしい本です。『セカンドID』

筆者は、若手俳優として絶頂の時に引退し、その後、世界最大のEDMイベントULTRAを日本に誘致し、音楽と花火を融合したエンターテイメントSTAR ISLANDを創り上げたクリエイティブディレクターとなりました。ですが、俳優からクリエイティブディレクターとなる空白の期間に、病気になり、ケガをして、うつ病になり、様々な葛藤に苦しみ、自分と戦いの日々を送ってきました。

どうやって最高の自分を見つけるのか、そんな疑問の一助になる本です。

セカンドID―「本当の自分」に出会う、これからの時代の生き方

セカンドID―「本当の自分」に出会う、これからの時代の生き方

【書評】ピンチはチャンスとはこのこと!価値の再発見とテコ入れを!『衰退産業でも稼げます :「代替わりイノベーション」のセオリー』

自分が事業をやるとして、どの事業を選ぶべきなのか。
これから伸びそうな事業?否。
本書では誰もが伸びないであろうと考えているいわゆる「衰退業界」で稼ぐためのヒントをいくつもの事例から学ぶことができる。

キーワードの一つは「ビギナーズ・マインド」である。
既成概念をもっていない経営者だからこそ、価値に気づくことができる。
衰退しかないと思っていた事業にも、外から中に入ることで価値を発見できる。
直接関連していない他業種をやっていたとしても、その経験が客観的に見ることに繋がる可能性がある。

また衰退事業の会社は非効率な部分も多くある。
社内の体制が整っていなかったり、システム等も全く入ってないことが多い。
本書内では一度外部企業に就職した息子が家業を継ぐことで、まず体制やシステムの改善から入る事例がいくつかある。
外部でのノウハウが活かせている良い例である。

衰退企業には今まで実績を出してきた「価値」がある。
その価値を活かし、今の時代の流れに合うようにテコ入れをすることで復活の兆しが見えてくる。
「代替わり」とはそのテコ入れのチャンスなのだ。
これからは事業継承が流行していくのかもしれない。

私たちは今何をすればいいのだろうか。
点と点が線になる とはよく言うが、今学んでいることがどこで役立つかなんて誰にもわからない。
今は今できることを、幅広く学んでいけば将来何かに繋がる可能性が広がっていくのではないだろうか。

衰退産業でも稼げます :「代替わりイノベーション」のセオリー

衰退産業でも稼げます :「代替わりイノベーション」のセオリー

【書評】日常生活でこの色を選ぶと友だちはいなくなるよね『世界の美しいトカゲ』

あり得ない色の組み合わせに刺激される脳みそ。

あの爬虫類ハンター 加藤英明先生監修のトカゲ図鑑です。
http://shizuokakameken.seesaa.net/article/461757296.html

動物は捕食者(天敵)がいない方が、体色は派手になり、行動は大胆になる。

メスがその方を好むから。

この図鑑に出てくるトカゲは、人間では考えつかないような色の組み合わせで出来ている。

周囲の風景と合うんだ、これが。まあ、進化の結果だから当たり前なんだけれども。

一方で人間界、この図鑑を読む私を妻は掃除機でつつき、娘は「トカゲは絶対に飼わないからな」と丁寧に断ってきた。

派手なトカゲを飼いたい衝動と、成長する娘に感じるノスタルジーは同じなのかもしれない。

トカゲを見るだけで文学的になる。

そんな脳が刺激された気がする図鑑であることは間違いない。

世界の美しいトカゲ

世界の美しいトカゲ

【書評】歯並びが悪いと出世できない!?『今までの常識がひっくり返った!いま注目の大人になってからの歯科矯正 徹底解説』

本書では、日本と世界で違う歯科矯正の捉え方や歯並びが見た目に与える影響、歯科矯正の種類やインビザラインの特徴、歯科医院の選び方について書かれている。

欧米では、幼い頃に歯科矯正をするのが一般的であり、大人になっても歯並びが悪い人は「なぜ、子供の時に歯科矯正をしなかったのか」と度々聞かれるそうだ。そのため、日本に住む外国人の多くは、日本には歯科医院がたくさんあるのに、日本人の歯並びが悪いことに驚くそうだ。

また日本人にとっては歯科矯正は、恥ずかしいと思う人が多いようだが、欧米人にとって歯科矯正は一定のステータスともなっているため、矯正装置をカラフルにしたりと、わざと目立たせたいという。

評者は子供の頃、昔ながらのワイヤーを使った歯科矯正をした。当時の歯並びは、今とさほど変わらなかったが、奥歯の咬み合わせのために行った。そのため、人の歯並びは無意識に見てしまうが、日本人は驚くような歯並びをしている人をよくみかける。どうしたらこのようになってしまうのかと疑問に思ってしまうほどだ。

しかし調査によると、子供の頃から自分の歯並びが悪いことを気にしていた人は意外と多くいるそうだが、金銭面や痛そうなイメージ、また親に相談しなかった等の理由により、結果として矯正をする人はわずかだという。

そのような人のために、現在ではマウスピースを使った矯正法があるそうだ。そのメリットは、やはり「目立たない」「取り外しができる」ということだ。評者も歯科矯正が終了し、その後一定期間、定着させるためのマウスピースを使ったことを思い出した。ワイヤーを外した後は、爽快感と軽さがあり、マウスピース装着期間はまさに手軽であった。

マウスピース矯正といっても多くのブランドがあり、世界で最初の取り外し可能なマウスピース矯正装置であり、最も有名なのが「インビザライン」だという。

インビザライン」と初めて聞いたときは、それが何かよくわからなかったが、本書に掲載されている写真を見てみると、今思えばアメリカに住んでいた知人が、矯正をしていると見せてくれたマウスピースが「インビザライン」だったのだと思う。

また、ビジネスシーンでは、欧米は歯並びが悪いと出世できないと言われている。歯並びも自己管理だと考えられているからだ。歯は健康にとってとても重要なものである。そのため、歯科医院への定期的な受診をすることが健康への第一歩となるのだ。

【書評】こいつらやりたい放題・・・学者って良いかも!『生命の歴史は繰り返すのか? 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む』

「淵にグッピーを放すと生態系に重大な変化が起きることがわかってきた」

放す前にわかるわ!

この本は真面目な遺伝学の本だが、実験をする学者の行動がとにかく面白い。

上の実験はグッピーの体色、模様、行動の変化を観察したかったそうだ。野生のグッピーを捕まえてきて養殖、捕食者(パイクシクリッド)と同じ水槽にしたりもしている。

別のグループはトカゲだ。

捕食者(ゼンマイトカゲ)がいるとアノールトカゲの足が短くなり、木に逃げやすく進化することを確かめるために、本来はその島には存在しないゼンマイトカゲを放した。

お前もすんのかい!

そして、巨大ハリケーン「フロイド」により島は6時間ほど海に沈み、トカゲは全滅する。

まさしく「自然淘汰」だ。

懲りない彼らは違う12の島全部のトカゲを捕まえ、識別のためゴム色素を注入した。そして、再度ゼンマイトカゲを6つの島に放す。

この実験は数年でトカゲが進化するといった快挙を記録したが、ハリケーン「フランシス」、「ジーン」のダブルパンチを喰らいトカゲは全滅した。

遺伝の本として読んでも面白いですが、学者の行動に注目してみるともっと面白い。

こんな学者・・ダメじゃん

いえいえ、こんなんじゃないと新発見は出来ないんです!

生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む

生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む

【書評】むしろ20代くらいから必要な知識『たった2分! 50歳からのガマンしない貯蓄術』

本書ではファイナンシャルプランナーの著者が、貯蓄術について教授してくれる。
国に頼れず自助が必要な未来だからこそ、備えるに越したことはない。

年金崩壊というニュースが最近騒がれているが、
そもそも自分の年金がいくらもらえて、
いくら足りなくなるのか知っている人がどれだけいるのだろうか。
普段の家計を「見える化」している人がどれだけいるのだろうか。
まずは現在そして将来のお金を
見える化」するところから始めることが肝要だ。

そして自らが資産運用することも勿論必要だ。
最近だと少額から投資できる制度や、
iDeCoのような自身でお得に貯蓄できる制度が整っている。
少しずつ銀行で眠っているお金を動かしていくことが大事である。

「50歳からの~」というタイトルではあるが、
決して50歳以下が読んではいけない本ではない。
むしろ知識としては、早い時期に読んだ方が得が多いのではないだろうか。

知識を知った後はまず「小さく動いてみる」ことが必要だと私は思っている。
分からないことや不安なことは人に聞いたり調べたりすればいい。
皆さんで少しずつ「自助」を始めませんか?

たった2分!  50歳からのガマンしない貯蓄術

たった2分! 50歳からのガマンしない貯蓄術