HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】作るよりも買ったほうが合理的『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門』

 

本書は“会社を買う”という、個人の生き方の選択肢を提示している。感覚的には起業し会社を作ることの方が壁は低いように思っていたが、そうではない。著者によると、起業し残る会社は10年で2割ほどらしい。ゼロから作りその2割になるよう努力するよりも、初めからその2割の中から選び自分の会社にする方がはるかに合理的なのだ。

そうはいっても“会社を買う”ということに対し、やはり難しく感じる。本書はその不安一つ一つに対し、丁寧に説明してくれている。
例えば会社を売りに出していると聞くと、“潰れるんじゃないか?”という考えが浮かぶ。実際にはその限りではない、1つは後継者不足だ。事業として上手くいっていても、経営を継いでくれる人間がいないそれだけの理由で畳むか、事業譲渡すべきか悩む経営者は実に多い。日本の会社の実に多くが後継者を探してフェアなM&Aを心待ちにしているのだ。

自分の人生をより楽しいものにしたい方は、ぜひ本書を手に取ってほしい。起業やフリーランスもいいが、M&Aは他者の文脈から作られた事業を継承できることに魅力があると思う。おそらく自分なら思いつかなかった、ここまで大きくすることはできなかった、そんな会社に巡り会えたら仲間になるための300万円は惜しくないように思える。

【書評】最強のアウトプットは「教える」『学びを結果に変えるアウトプット大全』

 

本書はアウトプットの重要性と、具体的なアウトプット方法、そしてアウトプットを自己成長につなげる方法を伝えていく。

さて、その前に、よく「インプット」と「アウトプット」という言葉が使われるが、そもそもなんなのだろうか。具体的には「読む、聞く」がインプット、「話す、書く、行動する」がアウトプットとなる。

多くの人は、「インプット過剰、アウトプット不足」に陥っているという。それこそが「勉強しているのに成長しない」最大の原因ともいえるのである。インプットとアウトプットの黄金比は3対7であり、インプットの2倍近くをアウトプットに費やすように意識するといい。

本書では80個のアウトプット方を伝えているが、これらの中で最も自己成長につながる「最強のアウトプット法」をひとつ挙げるならば、それは「教える」ということに尽きる。

人に教えることを前提に勉強するだけで、記憶力がアップして学びの効果が上がるということだ。

つまり、「教える」はアウトプットであり、フィードバックであり、さらなるアウトプットであるともいえる。自己成長の3ステップを全て含んだ、三位一体、完全、最強のアウトプット術であり、自己成長術であるともいえる。

ならば、たくさんの人にインプットしたことを教えてどんどん自分を成長させてみてはいかがだろうか。

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

【書評】こんなに働いてる首相は史上初めて? 『安倍晋三の真実』

 

著者、谷口智彦さんは内閣官房参与という何だかとっても難しい肩書きの方。
メインのお仕事は、安倍晋三内閣総理大臣の英語スピーチの原稿を書いているいわゆる「スピーチライター」さんです。

安倍総理大臣の英語スピーチで忘れられないのが、2015年の米国連邦上下両院合同会議での演説です。
「希望の同盟」と題されたこの英語演説の様子はyoutubeなどで検索すると出てきますので、ぜひ一度、見て欲しいと思います。
僕は、この決して上手くない英語でオバマ政権下の米国議会の議員に語りかける安倍総理の情熱的な姿に、当時大感動しました。

そして、この本から、この演説に向けた阿倍総理の並々ならぬ決意、何度も文面を推敲し、練習に練習を重ねた姿を想像して、更に感動を深めました。

安倍総理大臣の政策に対しては是々非々の立場の僕で、全てが好きでも全てを否定でも無いのですが、この本を読んで分かった事は
「こんなに仕事をしている総理大臣は歴代初なのでは?」
と言う事に尽きるかと思います。

総理大臣に土日はありません。休もうと思えば休めるのでしょうが、安倍総理は休まないと言うこともこの本から知りました。ちなみに菅官房長官も安倍首相と競うように休まないようです。

国会の会期中、総理大臣は国会に縛り付けられます。そうなると、外交日程をこなす為には土日しか有りません。
その土日をフルに使って世界を周り、あらゆる国のリーダー達と胸襟を開いて語り合い、信頼を築いている。
日本の為に、日本が世界から嫌われない為に、ここまで頑張れる方が居るんだと頭が下がりました。

また、安倍明恵総理夫人の人柄に共感しました。
第一次安倍政権が無残な形で倒れ、失意の底にいた安倍元総理に対し、昭恵夫人は自分が頑張る姿を見せる事で安倍元総理を勇気付けました。

政権が倒れた当時は、昭恵夫人不妊治療を諦めるという岐路にいました。
政治家としての安倍総理の後継者を産む事ができなかった昭恵夫人
しかし、自分の人生を歩もうと決意され、立教大学の大学院に入り、ミャンマー寺子屋教育と社会生活という修士論文を書き学位を取得します。

また、山口の地元ではコメ農家を支援し、山口のコメをブランドにしようと、東京にアンテナショップを作り活動を始める。

この夫人が頑張ってる姿を見て、失意の阿倍元総理はどれだけ勇気付けられたのでしょうか。
もう一度総理を目指そうと思った原動力は、昭恵さんの頑張る姿だったのかも知れません。

阿倍総理を知らずに批判している方にこそ読んで欲しい一冊です。

安倍晋三の真実

安倍晋三の真実

【書評】究極の個人情報「ゲノム」 『ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか』

 

本書では、ゲノムや遺伝子から得られる情報や、生命科学やテクノロジーの進化について知ることができる。

ゲノムとは「人がもつ遺伝子情報」のことだ。一人一人の見た目や、体質などの違いはこのゲノム情報の違いによるものだという。

そもそもゲノムが社会に知られたきっかけは、日本を含めた国々が参加し、1990年から13年間、人のゲノムを明らかにするための世界規模プロジェクト「ヒトゲノム計画」による。

そのため、ゲノムについては20代や現在の学生にとっては、学校等で学んでいるため馴染みがあるが、30代以上の人にとっては、なかなか理解しにくいようだ。

そのような状況により、ゲノムや遺伝子について興味はあっても、いまいちよくわからないという人が多いということが、本書を出版したきっかけだそうだ。

著書は研究者兼起業家として、ジーンクエストを立ち上げ、ゲノム解析サービスを行っている。ゲノムの個人差約30万箇所を調べることにより、約300項目にも及ぶ、病気のリスクや体質について知ることができるのだ。

例えば癌や脳卒中、糖尿病はもちろんのこと脱毛や不眠症、偏頭痛など病気のリスクやアルコール、ニコチン依存、95歳以上まで生きる可能性やパクチーの味の感じ方など検査項目は多岐にわたり、非常に興味深い。

病気のリスクや自分の体質を知ることは、当然健康を意識するきっかけとなり、病気を予防したり、生活習慣を変えて、病気になるリスクを下げることが可能になる。まだまだゲノムに関しては明らかになっていない部分も多いが、その分今後の可能性にも期待できる。

また世界中では、その後もゲノム解析の大規模プロジェクトが、次々と行われている。病気との関連性やかかりやすさ、病気の正体が不明な稀少疾患の原因解明についても調査されているので、日々のテクノロジーの進化により、体に不安を抱えている多くの人々が救われる世の中が近づいている。本書を読むことにより、その進化をより実感することができるだろう。

【書評】昔は大変お世話になりました!  『全裸監督 村西とおる伝』

 

異形の男が好きだ。昭和のヤクザや愚連隊の実録本は僕の大好物だが、この男はそんなアウトロー達とは一味違う。
かつて、そして今もAV監督として名を馳せている

村西とおる

彼の枕詞は「前科7犯、借金50億円」

ハワイでは撮影中にFBIに捕まり、懲役370年を求刑される。
タイでは少年キックボクサーに全裸の女優をまたがらせて外交問題に発展させる。
こんな異形の男は彼ぐらいしかいない。

BVDの白いブリーフパンツ一丁で、業務用のどでかいビデオカメラを担ぎ、映し出されるAV女優に向かって

「ナイスですね」

と甲高い声で語りかける姿は、僕の脳裏に焼き付いて離れない。
女優を脱がせて行く様、言葉での追い詰め方、エロと笑いと哀愁を感じさせる作りは今見ても新しい。

女性と合体中に担ぎ上げる「駅弁」というスタイルは、実は村西とおる監督が世に送り出した49手目の対位だ。
「顔面シャワー」も彼が作り出したスタイル。
今、AVで当たり前にやられているスタイルの多くは彼によって世に送り出されている。

また、彼が売り出した女優は
脇毛の女王、黒木香を筆頭に、沙羅樹、卑弥呼、本番でもメガネを外さない野坂なつみ、Gカップ巨乳の松坂季実子、田中露央沙、そして今は監督の妻、乃木真理子etc….
本当に色々とお世話になりました。

異形の男、村西とおる監督の福島県で育った極貧の少年時代
田舎から東京に出てきて右も左もわからず飛び込んだバーのボーイ時代。
英語教材を売り歩き、ナンバーワンの営業マンとなり1度目の結婚の20代。
インベーダーゲームのブームに乗り、業務用ゲーム機の設置と販売で儲け始めた30歳。
ビニ本裏本の帝王となり億の金を稼ぐようになる33歳。
わいせつ図画販売で前科一犯から全財産を失い、AV製作を開始する36歳。
その後もずっと波乱万丈。
そして心臓の病で死にかけ、奇跡的に助かり、良きパパとして必死に頑張っている60代。

戦後の昭和史を異形の男「村西とおる」監督と一緒に振り返って見ませんか。
監督の名台詞
「お待たせしました、お待たせし過ぎたかもしれません」
が頭の中をヘビーローテーションする事で間違いなしですよ。

全裸監督 村西とおる伝

全裸監督 村西とおる伝

【書評】好きなことをして生きたいなら会社を買え!『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』

本書は「会社を買うこと」をオススメする本である。
生き方が多種多様になった今、知識と行動次第であなたも資本家になれる可能性がある。

「起業すればいいじゃないか!」という声が挙がりそうだが、
実際大富豪の代表である、ソフトバンク孫正義氏も雇われ社長ではなく資本家。
0を1にするのではなく、会社を買うことで1を10、10を100にするのが得意なのである。
あの孫氏ですら、最初の事業を続けるのは困難なのだ。

中小企業を買収と聞くと、「後継者がいない危険な企業を買う」と勘違いしがちだが、そうではない。
中小企業はワンマン運営が多く、経営できる従業員が育っていなかったり、承継できそうな親族が都内に出てしまっていることが多い。
経営システム、ビジネスモデルが改善されたら伸びる企業が買い手市場な今、手を出さないのは勿体無いのではないだろうか。

もちろん会社を買うということは簡単ではないと思う。
ただ知識をつけ、行動することは誰にでもできる。
誰にでもできることを、やってない人は多い。
知識を誰よりも早く身に着け、行動する人間が今後成功していくのだと、本書が教えてくれている。

 

【書評】大切なことは“らしさ”とらしさにとらわれない“冒険心”『ミナを着て旅に出よう』

本書を読むことで、仕事に向かうスタイルについて考えさせられる。アパレル業界の現状は以前に、『誰がアパレルを殺すのか』という書籍を通して知ることができた。トレンドとそこに乗り遅れないための早すぎる生産サイクルによって、業界全体が疲弊していた。しかしそのような業界の異様なスピード感とは別の立ち位置にいるのが“mina perhonen(ミナペルホネン)”というブランドだ。

同ブランドの設立者であり本書の著者である皆川 明の仕事は、ブランド購入者のライフスタイルに忠実だ。同時に、自身のライフスタイルにも忠実である。ものづくりの活動に“トレンド”という物差しは入っていない。そのブランドとそこから生まれる商品が生活者にとってどうあるべきかが、真摯に考えられていることが本書を通して伝わってくる。

繰り返すようだが、mina perhonenというブランドは時代の流れに飲まれることはない。しかしそれでもファンが増えていくのは、“らしさ”とそこに囚われない“冒険心”によってブランドの持つ価値がアップデートされているからだろう。顧客は服を身体に重ねると同じく、ブランドのあり方と自身の生き方を重ねているのではないだろうか。

“ブランドイメージ”ではなく“らしさ”、“チャレンジ精神”ではなく“冒険心”、立ち止まり自分のはどうあるべきか見直すことで仕事に対するスタイルは変わっていくのではないかと思わせてくれた一冊だ。

 

ミナを着て旅に出よう (文春文庫)

ミナを着て旅に出よう (文春文庫)

 

 

【書評】恐怖を生み出すビジネス『お化け屋敷になぜ人は並ぶのか 「恐怖」で集客するビジネスの企画発想』

本書はお化け屋敷というエンターテイメントを題材にしている。よくよく考えると人がお化け屋敷に行くことはとても不思議なことだと思った。お金を払って恐怖を体験しに行くのだ。怖い思いをするためにお金を払うということが成立するなんて、お化け屋敷はとても面白いエンターテイメントだと思った。

著者の五味 弘文の職業は“お化け屋敷プロデューサー”だ。なぜそのような役割に需要があるのだろうか。本書を読むまではお化け屋敷なんて驚かせることができれば成立する、それだけの商売だと思っていた。

しかしそうではない。“驚き”と“恐怖”は似て非なるものだ。恐怖を植え付け増幅させるためには、背景とストーリーが必要になる。また、お化け屋敷に完結せず、この時代の背景まで抑えることが必要になる。

本書の中で特に興味をそそられたのは、お化け屋敷の中に展開される舞台についてだ。近年のお化け屋敷の舞台に墓地は使われないらしい。それは墓地という場所と我々の関係が過去と比べて薄く、本来墓地から連想される恐怖が湧かないのだそうだ。その代わりに今は学校や病院など、生活の一部に組み込まれている舞台が主流だという。

ストーリーも重要だ。来場者にいかにその舞台の登場人物だと認識してもらえるかが恐怖を増幅させるための鍵になる。しかしお化け屋敷はアトラクションであり、決してファンタジーの世界ではない。その距離感を測り、来場者をストーリーに引き込むこともお化け屋敷プロデューサーの手腕の見せ所だ。

本書ではお化け屋敷ビジネスの面白さを知ることができる。日常とフィクションとの狭間にあるようなこのエンターテイメントの中で、来場者に恐怖を植え付けるために様々な駆け引きが行われている。私たちがお化け屋敷で感じる恐怖はどのような要素で生み出されているのか、ぜひ本書で確かめてほしい。

【書評】覚えることはたったの3つでした『カメラはじめます!』

周りからよく耳にする趣味の一つであるカメラ、私自身“やってみたい”と思うことは何度もあった。しかしその先の行動まで繋がらない。理由は1つ、“何となく難しそうだから”だ。

撮る行為そのものであればきっと簡単だ、スマホのカメラ機能を使って日常的に行なっている。ただし一眼レフの購入を検討しようとすると、なかなか踏ん切りがつかない。いざ購入し撮ろうとすると色々覚えることがありそうで、急に気持ちが億劫になるのだ。

そんな気持ちになってしまい、“趣味はカメラです”と言えずにいるのは私だけではないのではないだろうか。そんな方はぜひ本書を手に取ってほしい。“本を読まない人のための出版社”と掲げるサンクチュアリ出版が発行している本書は、漫画や写真で一つ一つのテーマがとてもわかりやすい。1つの知識を覚える前と後の写真を掲載し比較してくれているので、その知識がどれだけ役に立つのかも非常にわかりやすい。

カメラという趣味はきっととても奥が深いのだろう。でも、その入り口に立つにはたった3つのことを覚えればいいのだ。それは何か、ぜひ本書で確かめてほしい。ちなみに私は本書を読んで一眼レフを購入しました。

カメラはじめます!

カメラはじめます!

【書評】大切な人の最期に、私達がしてあげられること『素敵なご臨終』

 

大切な人の最期の時、あなたに何ができますか?
大事なのは、その時が来る前に私達が出来る事と正しい知識を「知る」ことである。

家族や友人は、患者のことを最もよく知る理解者である。
痛みや苦しみを緩和する役割は、おそらく医師よりも家族や友人なのである。
だからこそ医療素人の我々が「患者の状態を正しく理解する」ことが大事なのだ。

また「モルヒネ」という薬をどのような薬であるか説明できるだろうか。
名前だけ見て「危険!」と判断する方は非常に多いのではないか。
実際はモルヒネを使うことで、海外旅行に行くこともできるし、仕事をすることもできるようになる。
正しい知識を身に着け、患者の幸福度を上げることが、患者の苦痛緩和に繋がるのではないか。

人には必ず死が訪れる。
その時ほとんどの人が「幸せだった」と思えるような最期を迎えてほしいと思うだろう。
最後に「全ての人に役立つように」との記載もあるように、本書には廣橋氏の優しさと、熱い思いが詰まっている。