HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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世の中に特別なこととか特別なものは何もない、とつくづく思うわけです。イエローハット創業者の哲学 『凡事徹底』

本書はイエローハット創業者の鍵山秀三郎氏の著書であり、著者が大事にしている「凡事」というものがいかに力を持っているか、ということを一人でも多くの方に知ってもらいたいという目的で書かれています。

「凡事」とは何を指すのでしょうか?
それは、朝起きたら布団をたたむ、雨戸を開ける、ちょっと家の前を掃くなどの身辺の雑用になり、著者が特に強調されているのは「掃除」でした。

掃除を代表とする「凡事」を大切にしようとする著者の考えに対し、周囲からは「掃除のような生産性のないことをやっているより、もっと経済性の高いことをやってみたらどうか」と非難の声が非常に多く挙がっていました。
“これでは競争社会で勝ち抜けない”と。

なぜ、著者は「凡事徹底」ということを何よりも大事にしているのでしょうか。

そのルーツは著者の人生にありました。
著者は自身のことを、学歴も知識も才能もお金も何もない凡人であり、裸一貫で上京後もことごとに屈辱を味わっていたそうです。そして自分にできることは自転車に乗れること、丈夫な身体をもっていることであり、そんな何もない自分に何ができるかを考えたところ、ボロ自転車一台での行商、そして雑巾とほうき、ちりとりを用意し、今あるものをみがき高めていこうとすることでした。零細企業のためどこにも相手にされず、屈辱を味わうことが多かった著者の会社は名前だけでも上品なものをつけようと“気高い”、“王道”といった意味の「ローヤル」という社名にします。「ローヤル」に勤めている社員も社外に出ると屈辱的な扱いをうけて帰ってくることも多く、社員の心がすさまないように、そして怒りが増幅しないように汚れていたトイレなどを掃除したそうです。
“才能のない自分ができることは、やれば誰にでも簡単にできることを徹底して、その中で差をつけていく”という考え方を大事にして生きてきたといいます。

著者が「凡事徹底」とともに大事にしていることは「縁を結ぶ」ということです。
著者は、私のような弱く何もない人間が社会的に幸せになるためには、良い人と縁を結ぶことが大事だと考え、その縁を結びつなぐには、打算のないひたむきな姿で生き、それを見てくれている人々の心をうつことが結果的に良縁に結びつくと考えます。それに加え、常に感謝の気持ちを持ち、素直に表現すること、そして「よく気づく人になること」が大切だと考えます。「よく気づく人」とは、自分が知らないところで誰かを傷つけていないか、などを気づける人です。それは些細なことかもしれませんが、電車の中で開いた新聞が誰かに当たって嫌がられている、つり革につかまった手の肘が背の低い人の髪の毛に触って、嫌がっているということに気付けるかどうかということです。これは「因果一如」という言葉に起因し、原因と結果は一緒であり、原因を作った時には結果も同時に生まれているということを意味します。ただ、原因を作って結果が生まれるのには時間がかかります。ものによっては十年経ってから結果が出てくるものもあるので、この原因と結果が結びつかないことが世の中には多々あります。自分が知らない間に人を傷つけたことが原因で何十年後に悪い結果が訪れることがあるというのです。些細なことでも気づくことが大事であり、「人を喜ばせる」ことをもとにして気づくことは大きな意義をもっていると考えます。

次に、人生に対しては特別なことよりも「小さいことに目を向ける」ことを優先するべきと考えます。人並み以上をのぞみ、特別なことを探しているうちに人生の半分が過ぎ、特別なことがないと気が付いた時にはもう遅いということがあります。創業期の余裕がない時にも、時間を割いて掃除を行い、乱雑な職場環境を変えてきたので今があるといいます。だれでも知っているが、やってはいないことに目を向け、実践していくべきと考えます。小さいことに気付ける人になるには「掃除をすること」「人を喜ばす」ことを念頭に置くことが重要になります。

最後に、重要なこととして「自らが経験すること」で学ばなければならないということを強調しています。人の話を聞いてるだけではなく、自らの手を汚して、寒い、暑いという体験をすべきであると言います。
「躓いたり転んだりしたおかげで
ものごとを深く考えることができるようになりました。
 過ちや失敗を繰り返したおかげで
少しずつ人のことを暖かい目でみれるようになりました。
 何回も追い詰められたおかげで
 人間としての自分の弱さ、愚かさを知ることができました。
 騙されたり裏切られたりしたおかげで
 馬鹿正直で親切な人の暖かさを知りました
……。」 
 と、相田みつを先生の詩を引用して強調しています。
よく気づく性格になるためには、自ら経験する以外に方法がないということを知ってほしいのです。

著者の鍵山秀三郎氏の主張には成果ではなくプロセスを重視することが強調されており、掃除をはじめとする「整理・整頓・清潔」はあまりにも平凡で普通のことであり、すぐには成果がでないが、徹底的に行うべきと伝えています。

「ときには目標を見失ったり、気持ちが萎えそうになることもあるんですが、やることは人が見捨ててしまいそうな小さいことでも紙一枚の厚さでいいから積み上げることが大事だと思います。目には見えないけれども、確実に積みあがっているんですね。私は“小さく生きて大きく遺す”と言っていますが、大事なのはこういうことだと思います。」

これが、イエローハット創業者、鍵山秀三郎氏の持たざる者が故の気付き、生き方だったと思います。

人生は凡事に苦しみ、凡事を楽しまなければならないのかもしれません。

 

 

凡事徹底 (活学叢書)

凡事徹底 (活学叢書)

 

 

宮崎駿が次に選んだ題材『漫画 君たちはどう生きるか』

戦前、日本において教育書、教養書として学生必読と言われていた本はいくつかある。『三太郎の日記』、『善の研究』、『出家とその弟子』。そして今回紹介する『君たちはどう生きるか』であり、今回本作は初めて漫画化された。

本作品は主人公のコペル君とおじさんとの対話からなる。コペル君の前には人生で考えるべき出来事がいくつもいくつも起こる。貧困、いじめ、勇気、格差それに対して、コペルくんは考え、戦う。おじさんはコペル君にコメント、アドバイスをする。

本書を読み進めれば自然に人間としてあるべき姿を考え直すことができる。これが80年以上にわたって名作、必読の教育書、教養書と言われ続けて来た所以であろう。

宮崎駿氏は今度こそ最後の作品と言い、その題材として本書を選んだ。色々な情報が飛び交い、色々な生き方が謳われる現在。戦前からの日本人としての人生哲学を本書を通じて学ぶこともオススメだ。そして宮崎駿氏の新作が楽しみである。

 

漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

 
君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

 
善の研究 <全注釈> (講談社学術文庫)

善の研究 <全注釈> (講談社学術文庫)

 
新版 合本 三太郎の日記 (角川選書)

新版 合本 三太郎の日記 (角川選書)

 
出家とその弟子 (新潮文庫)

出家とその弟子 (新潮文庫)

 

 

あなたはこの危機を、チャンスととらえることが、できるのだろうか?『10年後、君に仕事はあるのか?』

 

世界は今後10年、人工知能グローバル化により、激変すると言われている。世界50億人がスマホでつながり、さらにそのネットワークに人工知能(AI)がつながる。そして、ほぼすべての知識がネット上に蓄積される。

AIは単純作業や正確に処理する仕事を得意としているため、近い将来現在ある多くの仕事が消えていく。本書では、AIに取って代わられる仕事が1位から45位までランキング形式で掲載されている。

ランキングをみてみると、経理、銀行窓口、医療事務などの単純な部類の「事務」が、機械化代替え率99%と上位に挙がっている。

このような状況の中、生き抜いていくためにはどうしたらいいのだろうか。

まずはAIが苦手としていることを知る必要がある。

想定外の事態(予測が難しいこと)への対応や最終的な安全確認は、人間に任せたほうがうまくいくと考えられている。

例えば電車の運行に関する仕事の場合、電車の運転士は早い段階でAIに取って代わられる仕事と予測されている。車掌は運行中の急病人の対応等あるため、生き残る仕事とされている。

あなたの現在の仕事は10年後も生き残るだろうか?

先程の例でもわかるように、激変の世界でも生き抜くために必要な力、それはコミュニケーション力である。

コミュニケーション力は将来のためだけに備える能力だけではなく、現在でも仕事はもちろん、生きていく上で必須の能力の一つである。

本書で紹介するコミュニケーション力を伸ばす方法、それは「ナナメの関係」で
ある。

「タテの関係」や「ヨコの関係」というのはよく聞くが、「ナナメの関係」とはとても興味深い。コミュニケーション力に自信がない人や将来に不安がある人は是非本書を読み多くの「ナナメの関係」を築くことが、生き抜いていくためのキーとなることは間違いないだろう。

本書は、都内では義務教育初の民間校長となり教育改革実践家である、藤原和博氏が問いかける「人生の教科書」決定版である。

 

 

相手も自分も大切にしたい人へ 『アサーション・トレーニング』

「僕がFacebookをつくったのは、会社を作るためではありません。“世界をよりオープンで、皆がつながり合える場所にする”という使命を果たすためです。」

これはFacebook創業者のマーク・ザッカーバーグの言葉です。

アドラー心理学では「人間は対人関係の中でしか生きる喜びも幸福も感じることができない」と説いています。

SNSが発展することで多くの人間と関わることができ、そして多くのコミュニティーにも所属できるようになりました。
それは対人関係が広くなり、幸せを感じる機会も多くなると思われました。

その反面、アドラー心理学において「苦悩」の定義は「すべての悩みは、対人関係の悩み」と説いています。

SNSがもたらした対人関係の広がりは、幸福とともに悩みの増幅を拡大したとも考えられます。

SNSだけに限らず、日常生活での身近な家族や友人との会話、課題や成果を追求する職場や学校、お客様を対象としているサービス業など、対人関係とコミュニケーションの問題で悩む人が多くいることは想像に難しくありません。

私たちはどうしたら職場や学校、家庭、SNSがつないだ人間関係を良好に維持し、幸福を感じることができるのでしょうか。

これはアドラー心理学の「他者は、仲間である」という概念を問題にはしていません。
もっと、対峙している人間を大事にする具体的なコミュニケーションの方法を問題にしています。

今回、私が読者の皆さんに紹介したい本は、自他尊重に基づく「アサーション」という考えと方法になります。

人間関係の持ち方には大きく分けて三つのタイプがあるとされ、
① 自分よりも他者を優先し、自分のことを後回しにするタイプ
② 自分のことだけを考えて他者を踏みにじるタイプ
③ ①と②の黄金率であり、自分のことをまず考えるが他者にも配慮するタイプ
が挙げられます。①を「ノン・アサーティブ」、②を「アグレッシブ」、③「アサーティブ」と分けます。

実例を挙げると、
あなたは上京してきた友人と銀座で夕食をとっています。あなたはステーキをレアで注文しましたが、運ばれてきたステーキの焼き加減はウェル・ダンでした。
① 友人に愚痴をこぼすが、ウェイターには何も言わず、笑顔で受け答えをする。せっかくのステーキは不味く、注文通りのものを要求しなかったこと、こんなところに友人を連れてきてしまったことを後悔する。なんだか自分が萎縮してしまった感じになる。

② 怒ってウェイターを呼ぶ。注文通りでないことを必要以上に大声で怒鳴り、もう一皿注文する。自分の要求が通ったことは満足するが、怒鳴ったことでその場が気まずい雰囲気になり友人には決まりが悪く、夕食の雰囲気は台無しになる。一方、ウェイターは大勢の前で侮辱された感じがして、不愉快な気持ちになる。

③ ウェイターを呼び、「レアでなくウェル・ダンのステーキが運ばれてきたこと」、「レアのステーキと取り換えてほしい」と丁寧にはっきりと頼む。ウェイターは間違いを謝り、レアのステーキが運ばれてくる。あなたは自分のとった言動に満足し、夕食も楽しみ、ウェイターも客が気持ちよく過ごせたことで気分がよくなる。

この中で③を目指すことがアサーションの第一歩となります。
① 「自分の気持ちが分かってもらえなかった」と自分の気持ちを押し殺し、傷つき、勝手に惨めな気持ちになり、相手を心の中で「思いやりのない人だ」と非難したり、「相手を立ててやったんだ」恩着せがましい気持ちに陥ります。
② 相手の言い分や気持ちを無視したものであり、相手の犠牲の上に成り立った自己主張になります。攻撃された人は自分意に反して服従させられた気持ちになり、軽く見られ、バカにされた気持ちになるでしょう。その結果、傷つき、恐れると同時に怒りを感じて復讐心を抱くかもしれません。

その中でアサーションとは相互尊重の気持ちに基づきます。
相手と意見が異なり葛藤が起こる場合でも、意図的に折れて相手に譲ったり、相手を支配し自分の意見に同意させようとするのではなく、面倒がらずにお互いの意見を出し合って、お互いが妥協して、双方の納得のいく結論を出そうとすることです。
アサーションには歩み寄りの精神があり、相手は大切にされたという気持ちを持ち、歩み寄った二人の努力に誇りを持つことができます。「自他の権利を侵さない限り、自己表現をしても良い」という意味です。

人間関係にて相手に過剰に気を使いすぎて疲れてしまう人もいると思います。
もし「すこし休みたい」と心で少し思ったのであればその気落ちを優先して良いのです。
もし「断りたい」と思ったのであれば、相手を尊重しつつ自分の意見を言うことは間違いではないのです。「自分を大事にすること」は私たちが生まれた時からもっている大事な権利なのです。
自分の意見を優先することで相手を傷つけるかもしれません。それでも良いのです。
人間には「失敗する権利」があります。
私たちは失敗や過ちを犯す生き物だから人間なのです。
間違ったときは訂正し、悪意なく傷つけたときは謝りたいのです。
完璧に償うことが義務なのではなく、可能な限りで引き受け責任をとることができるのです。
完璧に償うことが義務なら、私たちは何もできません。完璧に償うことなど不可能だからです。
人間は不完全な故、人を傷つけることもあり得るという前提で生きていかなくてはなりません。
もし、傷つけてしまった場合は、傷つけたことを認め、それをどう修復するか心を砕くことです。傷つけまいと必死になるよりも、自分の意見を主張したことで相手を傷つけることがあると心がけ、その後の人間関係を修復する方法を身に着けることが大切になります。
そして「赦す」気持ちや行為ができるのも人間なのです。

この文章を読んだときに、対人関係で気を使いすぎている人とぜひシェアしたいと思いました。
私が紹介した内容はごく一部ですが、この本にはもっと多くの他人と自分の大切にする方法の基本となる考え方や上記の様な具体的な場面や方法が書いてありますので、ぜひ一読してみてください。

言いたいことを言えないこんな世の中じゃ~POISON
俺は俺をだますことなく生きていく~OH OH

タンタタターン♪ タンタタターン♪

 

改訂版 アサーション・トレーニング ―さわやかな〈自己表現〉のために

改訂版 アサーション・トレーニング ―さわやかな〈自己表現〉のために

 

 

無職でも生きていけるのでは?『魂の退社-会社を辞めるということ。』

本書は大手新聞社を辞めて、自由に生きるという選択をした、50歳独身女性の物語だ。

私が住んでいる地方の経済は、はっきりいって疲れ切っているのが、顕著に分かる。著者が地方に転勤で住んでいたとき、都会で何年も金満生活を送っていて「買いたい」というものはそれほどない。都会ふうの店、都会ふうのレストランというのは、やっぱり都会そのものではない。つまり、地方では「金満生活による幸福の追求」を諦めざるおえないのである。

なので、それまで何かを得ることが幸せだと思っていた。しかし、何かを捨てることこそが本当の幸せの道なのではないか。こうなってくると、お金を使わなくてもハッピーなライフスタイルどころか、お金とハッピーの関係すらわからなくなってきたのである。

そして「お金が欲しい」と思っている人のところへは、なかなか集まらない。いったんは集まったとしても、すぐに離れていってしまう。なぜならすぐ使ってしまうからだ。ところが「もうお金は別にいいや」と思った瞬間に、何だかお金の方から近づいてきて、しかもなかなか離れていかない。

世の中の経済は、何しろモノが売れない。それは、各々の会社や製品の問題ではなく、会社の構造がもうそうなっているのだ。みんな、すでにモノはたくさんすぎるほど持っている。しかし、それでは会社が行き詰まって困ってしまう。そんな中で利益を上げようとする方法は2つしかない。「働く人を安く使い捨てにすること」「客をだますこと」つまり、非正規労働者や外部の労働力を安く買い叩くか、過剰なテクニックを駆使して必要なもののように思わせて買わせるか。

つまり、会社が生き残ろうと、もがけばもがくほど不幸になる人が増えるということだ。そんな時代に突入しているのだ。

今の世の中は困っている人はとにかくたくさんいる。ということは、それだけ仕事もたくさんたくさんあるはずだ。そう思えばお金とか、就職とかってことにこだわらなければ、もう死ぬまでの間、楽しいことがなくなるっていうことがない。

自分を1人の人間として、つながる。人を助け、そして助けられる。そんな関係を1から積み上げていけば、無職でも生きていくことができるはずだ。っていうかそうやって生きていくしかないんだよね。

 

魂の退社―会社を辞めるということ。

魂の退社―会社を辞めるということ。

 

 

HIUメンバーがおすすめする小説12選

 

 ・『挫折を経て、猫は丸くなった。: 書き出し小説名作集』

 

挫折を経て、猫は丸くなった。: 書き出し小説名作集

挫折を経て、猫は丸くなった。: 書き出し小説名作集

 

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・『愛と美について』

愛と美について

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・『女のいない男たち』

 

女のいない男たち (文春文庫 む 5-14)

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 ・『快挙』

 

快挙 (新潮文庫)

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 ・『本屋さんのダイアナ

 

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

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 ・『嗤う名医』

 

嗤う名医 (集英社文庫)

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 ・『ナラタージュ

 

ナラタージュ (角川文庫)

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 ・『ララピポ』

ララピポ (幻冬舎文庫)

ララピポ (幻冬舎文庫)

 

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 ・『劇場』

 

劇場

劇場

 

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 ・『殺人鬼フジコの衝動』

 

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

 

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 ・『走れメロス

 

走れメロス (新潮文庫)

走れメロス (新潮文庫)

 

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 ・『本日は、お日柄もよく』 

 

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

 

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この行為は想定内ですか!?文学女子の性の目覚め『荒ぶる季節の乙女どもよ。』

この作品は文芸部の女子高生5人組の物語である。5人はわかりやすく言えば陰キャラ、スクールカースト底辺の5人組だ。彼女たちは文学作品を読む中で性に興味を持ち、そして振り回されることになる。

文芸部の5人は友達も少なく、ましてや彼氏なんていない。しかし、大好きな文学作品には多くの性描写があり、思春期でもあり興味津々だ。

そんな中幼馴染の男がAVを見ているところを除いてしまったり、えすいばつ(SEXの文芸部での隠語)を経験したいためチャットサイトを使ってみたり、男を意識するあまり、イメチェンしたり、興味があるからこそ性に振り回されることとなる。

本作品はこれまでなかったと思われる女子の性について、しかもあまり目立たない子達の性に対する葛藤を描いた作品である。無垢な女子高生たちの飾らない姿が見れ非常に面白い。 

 

非連続の時代に企業が勝ち残るには『40歳が社長になる日』

非連続にの時代に勝ち残るためには、企業にも非連続性が求められる。自然と集まってきた人材の中から自然と成長をしたごくわずかな人間をリーダーに任命する、そのようなALL天然経営では勝ち目はない。リーダーの素養を備える人間を意図的に選抜し、また彼らが現れる温床となる母集団も意図的に作らなければならない。

良質な母集団形成のためには多様性、いわゆる“ダイバーシティ”が必要になる。本書はここの誤解を指摘する、企業に必要な多様性とは“考え方”であり、“属性”ではない。年齢、性別、出身、学歴、言語、、、どれだけ属性としての多様性が担保されていても、考え方が画一的であればこの非連続の時代ではとても危険だ。崖に向かって全員で走っていても、誰も止めようとはしない。今までも道は続いていたからきっとこの先も道は続いている、その連続性を疑うには多様な視点で考えられるだけの母集団が必要なのだ。

リーダーの育成もこれからはそのプロセスに、より“意図”が必要になる。本書は必要なものは公平な評価ではなく公正な評価だとしている。中長期的に組織を導く40歳のリーダーを作るには、30歳から育成プログラムをスタートさせる必要がある。事実、一部の大企業では次世代リーダーの戦略的な育成がすでに始められているという。

本書を読むことで気づかされることは、今後 企業が母集団形成とリーダー育成により注力をする際、今まで以上に選抜がおこなわれるということだ。多様な考え方ができる母集団を構成するには必要ないと判断される者、リスクある成長の機会を敬遠する者は、今後積極的に排除されるだろう。その組織の外に出ることは選択肢の一つだ、今では転職の壁も低く、個人でも充分に活躍できる時代だ。しかし、今の組織のミッションに共感しそこに貢献したいのであれば自分自身で一歩を踏み出す必要がある。社長の席は一つしかないがリーダーの席は無数にあるはずだ、本書を手に取り非連続の時代で勝ち残ろう。 

40歳が社長になる日(NewsPicks Book)

40歳が社長になる日(NewsPicks Book)

 

 

中年非モテヲタと若い美人嫁との生活『中国嫁日記』

本作品は4コマ漫画ブログから誕生した中国嫁とのノンフィクション作品である。中国と日本の文化の違いが面白く、嫁の月(ユエ)さんが可愛くて実にうらやまけしからん。

作者のジンサン(井上の中国読み)は、中年ヲタであったが、知り合いの紹介で美人が多く有名な中国は東北地方出身の月さんを紹介してもらい結婚することになった。月さんが可愛く文化の違いが面白いので、漫画家にはなりたくなかったが、ブログに4コマ漫画をあげていたところバスって漫画化された。

嫁日記であるため日常ものかと思えば本作品はかなり役立つ情報も多く、また事件にも多く巻き込まれる。例えば中国人と結婚するための方法(手続きなど)は網羅されているし、不妊治療についても詳しい。他にもビジネスパートナーにお金を横領された話なども興味深い。それについては別にブログにもなっている。

 

もちろん日常の文化の違いなどのネタも多い。東北人の特徴である気の強さ(頑固さ)や愛嬌たっぷりな性格もかなり伝わってくる。うらやまけしからん。

地球上で中国人の数は圧倒的だ。多くの人は中国人と関わって生きていくだろう。本作品を読むだけで中国人との話のネタには困ることはない。とにかくうらやまけしからん作品だ。

  

 

ハッキリ!滑舌よく!しゃべろ!『「好きなことだけやって生きていく」という提案』

本書のタイトル「好きなことだけやって生きていく」と、聞いてどう思いますか。素敵なことではないか。毎日充実して楽しそうではないか。そう思う。

だがしかし、そんな生き方できるはわけがないという意見もあるでしょう。「好きなこと」を増やし「好きなことを仕事する」そうすれば、きっと今までとはまったく違う、素晴らしい世界が訪れる。

何か勇気をもって一歩踏み出したとしても「できない」「うまくいかない」と一人で悩み続けても、なかなか物事は前に進まない。自分の限界を突破するなら、ほかの人の力を借りた方が圧倒的に簡単である。そのためには、周りの人に対して「おもしろい」「好き」といった興味をもってもらう必要がある。

さらに、興味を共感してもらうためには、伝え方がうまくないといけない。自分もそうなのだが、伝え方がうまくない人は、発言することに臆病にになりやすく、会議などでも黙ってしまいがちだ。物事の伝え方にはある程度コツがあり、黙っていると相手には何もしていないように見られ「仕事ができない人」という印象を持たれやすいといえる。

そして、伝え方のテクニックについて具体的にお話すると「一言目からはっきり滑舌よくしゃべる」ことである。実はこれは、かなり難しい。なぜなら、話の最初の部分の主語がうまく伝えられないと、相手の理解度が格段に悪くなってしまうからだ。

これからは、一人ひとりが個別にコミュニケーションをとり、信用を交換し合ってビジネスを行い、生きていくという生活が当たり前の世の中になってくる。大きなプロジェクトを動かすときは、同じ価値観を共有する者同士が、その瞬間だけ集まってグループを形成し、目的達成したら解散する。

つまり、今後は組織にまとまり働くというのではなくて、個人の時代に突入していくという見解であると著者は伝えている。ならば、自分もそろそろ「個人」という特徴を生かし、好きなことだけやって生きていくのもいいのではないかと、本書を通して思った。

 

「好きなことだけやって生きていく」という提案

「好きなことだけやって生きていく」という提案