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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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みんな本を出そう!『なぜ堀江貴文の本はすべてがベストセラーになるのか?』

 

『なぜ堀江貴文の本はすべてがベストセラーになるのか?』著者:堀江 貴文(堀江 貴文、2017/7/6)

 

あらゆる縦の壁が溶けていく現代で、本を作る側と読む側に存在していた壁も例外ではない。本を出すということの壁は限りなく低くなっている。本書は出版にまつわる誤解と誰でも出版できる可能性、さらにはコンテンツのアウトプットだけではなく相手に届けるその届け方にまで言及している。

 

一般的に本というと書店に並んでいる紙の書籍のイメージがあるが、情報コンテンツという意味では電子書籍やメルマガも本のカテゴリーに含まれる。また、現代が個人から個人に情報を発信できる環境が整っており、出版社を必ずしも経由する必要もない。出版社を通してのメリットとデメリット、自費出版のメリットとデメリット、比較した上でどちらを選ぶか、その選択肢でさえ今は自由に選べるのだ。だからこそコンテンツの純度の高さ、そして受け手に届くまでのプロセス管理が求められる。

 

本書は「伝えたい」その欲求がある全ての人に読んで欲しい。自分にはできないという根拠のない不安を解消してくれるだろう。思い込みのハードルに止められていた良質な情報が一気に世の中に拡散することを期待する。

相手をストーリーに巻き込め!『人生の勝算』

 

『人生の勝算』著者:前田裕二(幻冬舎、2017/6/30)

本書にはSHOWROOMというエンターテイメントサービスを立ち上げた著者の血肉が詰まっている。
彼の熱量をここで説明してしまうのはいささか野暮な気がするので、彼の焼け焦げるような熱量はぜひ本書を手に取って感じて欲しい。

ここでは著者の考え方に触れよう。
幾分私自身の解釈が含まれていることは許してほしい。
著者はエンターテイメントにおける“質”の意味が変わってきているという。質の高さとは、受け手が「どれだけ自分のストーリーとして感じられるか」に影響されるという。
この話を聞くと、文脈として想起されるのが東 浩紀の著書『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』だ。この書籍ではコンテンツの消費の仕方が過去には世界観やストーリーなど大きな物語そのものではなく、部分的に切り取られ消費されるようになったと綴られていた。動物化するポストモダンからも、大きな物語の消費も部分的な要素もコンテンツの所有・主導権は発信者にあったはずだが、著者は発信者と受信者が繋がりを持った上で、それらを受信者にも共有することでコンテンツの質が高まるのだと言う。確かに情報が溢れ「情報の信頼度」という指標を機能させづらい現代で、「自分との関係度」が質の指標になるのは想像に硬くない。現にネットで検索するものはいつだって“自分が”気になることだ。

30年という短い時間を生きてきた中での体感としても、やはり質の意味するものが変わってきたと思う。本書でも取り上げているが、AKB48が好例だ。手の届かない高い完成度のコンテンツより、たとえ隙があって発展途上のだとしても、そこに自分自身との繋がりを見つけられるものであれば、受け手にとっては上級品質のコンテンツとして歓迎される。

本書はコンテンツの未来を指し示す新しいコンパスだ。何を目指して進めばいいのか悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。きっとこの書籍が「こっちだよ」と導いてくれるはずだ。

電子書籍で満足できる人は読まないでください『装幀談義』

 

『装幀談義』著者:菊地信義ちくま文庫、1990/4/24)

 

「装幀家」という職業をご存じだろうか。本のコンセプトに合わせて、カバーやオビのデザイン、紙の種類を考える、一言で言えば本の顔を作る職業のことだ。著者のように大きくカバーに名前が載ることはないけれど、著者の伝えたいことを「本」としての形に具現化するために欠かせない仕事だ。たいていは奥付(著者名や出版社名、出版年月が書かれた部分)ページに、装幀家の名前もひっそりと書かれているので、家にある本を見てみてほしい。

さて本書は、日本で最も有名な装幀家のひとりである、菊地信義氏が自身の仕事について語ったものである。中上健次島田雅彦吉本隆明などの自身が手掛けた本の実例も交えながら、本の素材、書体、イラスト、レイアウトについて、菊池氏がデザインする中で考えていることについて記されている。

菊池氏は最後に、「本は心を作る道具」と語る。その言葉が表すように、菊池氏の姿勢からは、一貫して本をある種神聖なものとしてとらえ、畏敬の気持ちすら抱いていることを感じた。原稿という情報を、それぞれ一番ふさわしい「もの」としての本に仕上げるため試行錯誤する姿はまさに職人のようで、感動を覚えた。

本書は30年近く前に書かれた本だ。2017年現在、本を取り巻く環境も業界も、大きく変わっている。古い情報はあるけれど、それでも本質的な部分は今読んでも共感できる。電子書籍が増えた今でも紙の本を愛読する読者ならば必ず面白いと思えるだろう。単なる情報としてではなく、厚みと質感がある物としての本を愛する人に、ぜひ読んでいただきたい。

自分がやりたいことを仕事にしよう!『本当の仕事』

 

今の仕事を続けていて人生の最後に後悔しないだろうか。
「絶対に後悔しない」と答えられる人はどれだけいるだろうか。
著者は多くの日本人が4つの仕事観に縛られていることに対して問題提起をしている。

1.仕事とは、「生計を立てるための手段」である
2.仕事とは、「やりたくないことをやる」ことである
3.仕事とは、「既存の職業に自分を合わせる」ことである
4.仕事とは、「同時に1つしかもてない」ものである

これらの仕事観を捨て、自分が本当にやりたい仕事をするために、自分が持っている
純粋意欲を知り、その純粋意欲に従って行動することを著者は薦めている。

「自分の純粋意欲がわからない」・「自分のやりたいことだけやっていては生計がたてられない」
と感じる人も多いだろう。しかし、本書は著者の経験を踏まえて自分の純粋意欲に従った仕事をした上で
生計を立てる方法を提案している。

ホリエモンは「自分の好きなことだけを仕事にしよう!!」と主張するが、具体的にどうやって行動していいかわからない人。
多くの日本人が抱える4つの仕事観に縛られながら働いている人。そんな人たちに是非、本書を手にとってもらいたい。

 

 

 

一生刺さり続ける棘『僕たちがやりました』

 

「そこそこ」楽しけりゃ幸せだった。アホなことして。スポッチャ行って。カラオケ行って。凡下(ボケ)高校に通っている3人は「そこそこ」な生活を過ごしていた。しかし、ある日イタズラで仕掛けた爆弾がプロパンガスに引火、10人もの人を殺害してしまう。「そこそこ」の人生でよかったのに。青春逃亡生活がはじまる。

2013年流行語大賞にノミネートされた言葉に「悟り世代」という言葉がある。これは概ね1990年代生まれの若者に対する言葉だ。「欲がない」「旅行に行かない」「恋愛に興味がない」。コスパよく仲の良い人とつるみ「そこそこ」楽しければ良い。

このマンガの主人公たちも同様であった。事件が起こるまでは。「そこそこ」の人生をうしなってしまった、人を殺めてしまった主人公たちは共犯者かつ金持ちのパイセン(あだ名)のお金を使い逃亡を図る。「そこそこ」の人生を捨て、毎日豪遊し、高級風俗へ通うものや、女の家に転がり込み一日中SEXに明け暮れるもの、ホームレスになり身を隠すもの...。しかしやってしまったことを忘れることは出来ない。

「無かったことにはできない、もう戻れない」(5巻)。自分達は生きていていい人間なのだろうか。苦しんだ末出した結論は『僕たちがやりました』。

悟り世代のように「そこそこ」の人生を送るのが幸せなのか。「特別な」人生を送り世の中から注目される人生が幸せなのか。幸せとは何なのか。本作品からはそんなことを考えさせられるのかも知れない。

 

 

 

グライダー人間?飛行機人間? 『思考の整理学』

『思考の整理学』著者:外山 滋比古(ちくま文庫、1986/4/24)

 

今の教育システムはグライダー人間を育てる教育である。全てにおいて平均点が取れ、目上の人の言うことをよく聞く良い子ちゃんを育てる教育である。これらはイギリスの産業革命以降にできた工事労働者を育てる教育からきている。

これから必要なのはそんな人間よりも自力で飛び抜ける人間、いわば飛行機人間が必要となる。この本が最初に出版されたのは1986年だが、テクノロジーが発展し、物や情報が溢れ、より独自性が重要とされる今の時代に本書は必要とされると強く思う。

本書は未だに増刷され、多くの書店にも平積みされている。それだけ長く愛され続けた本だ、ぜひあなたも手に取ってほしい。

真性ビッチに恋したら 『あそびあい』

 

『楽しいことがあったらできるだけたくさんしたいでしょ?』
地味目な女子高生のオタニヨーコは、誰とでもセックスする。気持ちいいから。主人公の山下は、そんな奔放な彼女に恋心を抱いている。自分以外の人とはしないでほしいという気持ちがある一方、好きだから強く出られない山下。


オタニは、貧乏な家庭で育った。だから、勿体無い精神に溢れている。電車賃はケチるし、人からもらえたらなんでも喜ぶ。でも、自分では買わない。セックスをするのは、その延長にある。『 気持ちいいこと逃すの 勿体ないじゃん』そういうオタニは、なぜ色んな人とセックスをするのが悪いのか、本当にわからない。
そんな2人がすれ違ったり、近づいたりする。お互いの感覚や、根本的な考え方のズレ。それでもなんとか一緒にいたい山下と、楽しいからと、気楽に一緒にいるオタニ。恋のような、遊びのような、一筋縄ではいかない2人の恋模様。


好きな人を独占したい、付き合ってたら他の人とはセックスしちゃいけない。そんな、当たり前のように考えられていることを、本当に正しいのかどうか考えさせられる作品。

 

 

 

ロジカルペアリングができるようになる!『日本酒のペアリングがよくわかる本』

 

こんなに読者に寄り添ってくれた日本酒の本はこれまでなかった。本書は写真、図、具体例を詰め込みまくり、論理的にペアリングが出来るように落とし込んだ日本酒のペアリング入門書である。

 

本書の内容を紹介する前に日本酒の味4タイプを紹介しておく。まず、日本酒の味を味わいの重さと香りの高さの2指標で分類する。それをフルーティ、熟成、軽快、旨口の4タイプと表現している。これは難しく言うと酒、熟酒、爽酒、醇酒というが、本書の書き方の方が入門には味わいの重さ、香りの高さがイメージしやすく分かりやすい。例えばフルーティタイプなら香りは高く、味わいは軽い。例えば「獺祭」などだ。本書ではこのように、日本酒の具体的な名前を出しイメージしやすくなっている。

 

そして本書の流れは、4タイプの特徴→テイスティング方法→製法→温度帯→にごり酒とテクスチャーとなっている。

 

ペアリングについてだけ少し紹介しよう。酒と料理のペアリングには主に3つの効果がある。A調和、Bマスキング、C相乗効果。
4つのタイプと、3つの効果を理解したならばあとは、以下の手順で論理に基づきペアリングをしていくだけだ。詳細は本書にて。

①味の濃淡を合わせる
②香りの要素を合わせる
③製法を合わせる
④温度帯を合わせる
⑤テクスチャーを合わせる
⑥魚や肉の臭みを包み込む
テイスティングする

 

これまでも色々とお酒に関する本を読んできたが、日本酒では本書が圧倒的に分かりやすく、便利だ。細かな表現を無視し、4つの味の表現しか使わない。例をあげると製法の項目で、濾過をすると味は?→「しっかりする」。6号酵母を使うと香りは?→「控えめ」。本書はこのように本当に管轄に日本酒について学ぶことができる最高の入門書である。

 

日本酒のペアリングがよくわかる本

日本酒のペアリングがよくわかる本

 

 

【書評】人類を最も興奮させた数式『オイラーの贈物〜人類の至宝e^iπ=-1を学ぶ〜』

 

オイラーの公式」を理解した人間は皆興奮を覚える。それは物理学者のリチャード・ファインマンも同様であり「我々の至宝」かつ「すべての数学のなかでもっとも素晴らしい公式」とコメントした。本書を読めばあなたも「e^iπ=-1」に興奮せざるを得ない。

sinθ、cosθ、tanθ、log、i、π、e、微分積分。高校数学では色々な記号が出てきた。しかし、数学の教科書は教えやすく、理解しやすいことを優先し、数学的に不自然な順序となっている。そのため各数学手法の必要性が全く不明瞭となっている。本書は数学発展の歴史と発展の順で数学を説明し、人類がどう言う過程で数学を発見してきたのかを知ることができる。そして、その結果、人類の至宝「e^iπ=-1」を発見する。

一応、公式の説明をここでしておく。理解できた人やどうでも良い人はこの段落は飛ばそう。まずは「i」これは虚数であり「iの2乗は-1」となる。高校2年あたりでiを学ぶ。中学生には愛(i)は早く、高校で愛(i)を学び、大学で愛情(i乗)を学ぶとよく言ったりする。あとはただの?数値だ。「π=3.141…」、「e=2.718…」。このよくわからない3つの数値をある組み合わせで合わせると-1になると言うのがこの式の意味だ。

本書は全部で512pからなるが、これは参考が必要なく、ページをめくる作業を減らすことを重視しているためだ。また著者の吉田氏は他にも数多くの数学の本を出版している。1001pからなる『虚数の情緒―中学生からの全方位独学法』や871pからなる『素数夜曲―女王陛下のLISP』はいつかは読んでやりたいと思いながら中々読めむことができていない本の一冊である。

本書はある予備校では高校の数学過程終了後の総まとめとして利用もされている。実際に手を動かしながら読む本となっており、読みごたえはかなりある。レベルとしては高校+αの内容なので理系大学に進んでいれば問題なく楽しめると言ったレベルだろうか。そうでないと骨が折れるかも。しかし、理解することが出来れば人類の至宝を学ぶことができる。スマホで簡単に情報を得ることができる現在であるが、たまには手を動かし、頭を動かしじっくりと一冊の本を読みきってみるのはいかがだろうか。

以下目次。
1章 パスカルの三角形
2章 方程式と関数
3章 微分
4章 積分
5章 テイラー展開
6章 指数関数・対数関数
7章 三角関数
8章 オイラーの公式
9章 ベクトルと行列
10章 フーリエ級数

 

オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ

オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ

 

 

書評もアウトプット『いつも「結果」を出す人のアウトプット習慣』

 

『いつも「結果」を出す人のアウトプット習慣』 著者:藤由達藏(ハート出版 、2017/5/26)

巷ではたくさんの成功事例が多岐に渡って流れており、それを活用できる人とできない人の2通りのパターンがある。1つ目は「ビジネス・サーファー」自分のやりたい分野が明確なので、それに関連する情報を集めたり、自ら取捨選択して実践するパターン。2つ目は「ビジネス・漂流者」たくさんの学びの果てに次々に成功事例を探り、実践よりも探りを数多く注力してしまうパターンだ。有効な成功事例を1つでいいから知っただけでも大収穫なのでそれを使って自分のやりたいことをどしどし実践していけばいいはずである。

まずは「まとめる」ということに注力してみる事が第一歩目である。学校の授業の基本であるノートに書き留めるのと同じで自分の進捗と理解度が学習記録になる。

人生をより良くする為の方法も手段も無限にあるが、無数の学校があり、無数の資格があり、無数の知識があるように全ての事を等しく学ぶ時間はない。ではどうするか?「何を学ぶのかを絞り込まなければならない」そのヒントは自分の学びたい分野と行動を繋ぐ気持ちの中にある。

人を動かしたければ質問を使えばいい。質問というのは非常にパワフルなコミュニケーションツールであり、相手に聞きたいことや疑問点を問いかければ多くの方は答えようとする。答えなくてもついつい考えてしまうものであり、他人を動かす強力な力を持っているのである。質問はどんな立場な人でも、どんな立場の人にであってでも発することができ、例でいえば新入社員が社長に対してでもコミュニケーションできる容易なツールである。

なかなか全力投球し続けても成果が現れないことが多いにしてある。成功体験は堤防の決壊と同じで努力が蓄積されてある閾値を超えた瞬間に突如、成功と呼ばれる現象が出現するのである。

*以前より断捨離とかミニマリズムという考え方が流行っているがチャンスを逃さない為には普段から心のゆとり、良好な人間関係の構築、身の回りを綺麗に整理整頓しておくことが大切である。

実際書評を書くというのもアウトプットの一つであり、自分が本書で捉えた知識や情報を自分の頭で考え、整理して読んでもらえる方に分かりやすく表現するという点では同じでないかと思う。